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歯石について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「歯石」についお話しします。


【目次】
1.歯石とは?
2.スケーラーについて
3.スケーリング後の注意事項


1.歯石とは?

歯石とは、プラークが石灰化して硬くなったものを言います。歯石の周りは汚れがつきやすく歯周病の悪化の原因になりますので定期的に歯科医院での除去が必要になります。

不十分な歯磨きのため、プラークが長期間、歯の表面についているとき、唾液に含まれるカルシウムやリン酸がプラークに沈着して(石灰化)、石のように硬くなったものが歯石です。プラークは、およそ2週間で歯石となります。

歯肉より上の歯の表面についているものを「歯肉縁上歯石」といい、白っぽい色で比較的柔らかです。これは、唾液の中に含まれているリン酸カルシウムがついて形成されたものといわれています。歯周病が進行して歯と歯肉の溝が深くなったところにできるものを「歯肉縁下歯石」といい、黒褐色でかなり硬く取り除きにくいのが特徴です。これは歯と歯肉の間(歯肉溝)からの浸出液の成分が含まれます。

歯石は、成分の約80%はリン酸カルシウムですが、そのほかにタンパク質、炭水化物や細菌の死骸などからもできています。歯石そのものは、むし歯を引き起こしませんが、歯石の表面がざらざらしているので、そこに細菌が増殖し歯周病を引き起こします。

歯石の除去には、そのもととなるプラークをつかなくするための毎日のブラッシングが重要ですが、少しでも取り残すとそこから増えますので、正しい歯磨きでプラークを完全にとることとが必要です。お口の中から、100%完全にプラークをなくすことは困難で、数か月程度でたいていの方には歯石が沈着してきますので、歯医者で定期的に歯石除去(スケーリング)することも効果的です。

2.スケーラーについて

歯石を除去する際に、歯科衛生士さんが使いフックのような形をした器具をスケーラーと言います。スケーラーには2種類あり、ハンドスケーラーと超音波スケーラーに分かれます。

(1)手用スケーラー

国立 歯医者 スケーラー

①鎌型(シックルタイプ)スケーラー

国立 歯医者 スケーラー

②鋭匙型(キュレットタイプ)スケーラー

国立 歯医者 スケーラー

③鍬型(ホータイプ)スケーラー

国立 歯医者 スケーラー

④やすり型(ファイルタイプ)スケーラー


このうち、最もよく使用されるのはキュレットタイプのスケーラーです。歯肉縁下の歯石除去や根面の滑沢化に適しています。キュレットタイプのスケーラーは、両刃のユニバーサルキュレットと、片刃のグレーシーキュレットの2種類がありますが、よく使われるのはグレーシーキュレットになります。 

またグレーシーキュレットタイプのスケーラーは、各部位の歯根の形状に合致し、周囲組織にはダメージを与えないように設計してあります。そのため、部位ごとに使用するスケーラーの種類が決まっています。

国立 歯医者 スケーラー

●#1~#4 前歯部
●#5-6   前歯部及び小臼歯部
●#7-8     大臼歯部頬舌面
●#9-10   大臼歯部頬舌面及び根分岐部
●#11-12 大臼歯近心部
●#13-14 大臼歯遠心部

グレーシーキュレットは、刃部の先端片側のみに刃がついています。そのため、挿入時は0度挿入を行い、ポケット内にスムーズに挿入することが大切です。0度挿入を行うことで、歯肉を傷つけることなく操作をすることが可能になります。また、操作時に刃部が歯肉の方向へ向いていると、歯肉を傷つけてしまいますので、常に歯頸部に添わせながら操作を行うことがポイントです。歯の表面は湾曲しているので、湾曲に沿わせて操作をしていくイメージです。

(2)超音波スケーラー

超音波スケーラーは毎秒25,000~50,000Hzでチップを振動させて使用します。振動で発熱するため、水を出しながらスケーリングします。歯肉縁上および歯肉縁下歯石除去に使用しますが、大まかに取り除くだけなので細かな部分や歯肉の中の部分には、歯石が残っています。チップはいくつか種類があり、交換することが可能です。

具体的には超音波スケーラーは,
1)超音波振動するチップによるメカニカル(機械的)な歯石の破砕
2)冷却目的の注水によるポケット内イリゲーション(洗 浄)
3)水と超音波振動により発生した気泡が破裂する:キャビテーション(空洞現象)の効果
4)マイクロストリーミング(渦状の定常流)によるキャビテーション領域の拡大

などの効果により、ポケット内のデブライドメントを行なっています。

<超音波スケーラーの種類>
現在の超音波スケーラーには、
圧電型(Piezoelectric:ピエゾ式)磁歪型(Magnetostrictive:マグネット式)とがあり(図 1),いずれも 25,000~50,000 Hz/秒程 度の周波数の超音波振動を利用し、注水下で歯石を粉砕、除去します。日本におけるシェア率は圧電型(ピエゾ式)の方が大きいです。

大きな違いは、チップの先端部の動きです。

国立 歯医者 超音波スケーラー
国立 歯医者 超音波スケーラー

 

ピエゾ式(EMS など)ではチップ先端部がリニアストローク(線運動)を
マグネット式(キャビトロンなど)ではエプティカルストローク(楕円運動)を描きます。


3.スケーリング後の注意事項

①一時的に歯がしみることがある

歯肉の中の歯石除去や、SRP、外科手術を行うと、歯肉が急に引き締まり歯根が見えるとようになると、歯がしみてしまうことがあります。これは歯石がついていたことによって歯周病が進行し、歯の周りの骨が溶けてしまったことが原因です。歯石を除去する前は歯石で歯根の周りが覆われており刺激が伝わりにくかったですが、歯石を除去することで歯根の部分が露出してしまうため、一時的に知覚過敏の状態になります。

 知覚過敏を起こした歯にはプラークをつけないように丁寧に歯を磨くと、唾液中のミネラルが取り込まれ歯の表面を強くしていきます。
 また、フッ素塗布や知覚過敏用の歯磨き粉を使うことで治まることもありますが、どうしても痛みが続く場合には、神経を取る処置をすることもあります。

②一時的に出血しやすくなる

 歯石除去を行うと出血しやすくなることがあります。歯石がついている部分の歯肉は、細菌の毒素により炎症を起こし、腫れているため出血しやすくなります。しばらくは、血がにじむ程度の出血があることもありますが、的確なブラッシングを行うことで炎症は2、3日で治まります。優しく磨いて出る様な出血は悪い血を出し切るつもりで優しく磨いてしまって問題ないです。

③引き締まって歯肉が下がる

 深い部分にある歯石を除去すると歯肉が引き締まり、下がったように見えます。歯石を除去することで細菌も除去され、腫れていた歯肉が引き締まります。歯肉は炎症が治まると引き締まりますので、歯肉が多少下がってしまうこともあります。極端に歯肉が下がり、その部分が気になるようであれば、歯肉を移植する方法もあります。

④すき間ができた気がする

 歯石除去を行った後に歯と歯の間にすき間ができることがあります。歯と歯の間を埋めるように歯石がついていた場合、スケーリングを行うと歯と歯の隙間が現れ違和感がありますが、スケーリングは歯を削るわけではありませんので、本来の歯の姿に戻すだけです。個人差はありますが、1週間程度で気にならなくなります。

⑤ザラザラする

 歯石は1日でつくのではなく毎日少しずつ大きくなるため、舌で触っても歯石がついている状態に慣れてしまいます。少しずつ大きくなった歯石は歯と歯の間を埋めてしまいますので、歯石で歯の凹凸が埋められた状態になります。歯石を除去すると歯の凸凹が現れるため、ザラザラした感触があることがあります。その他にも舌が荒れた様に感じることもありますが、本来の歯の形態なので、違和感は1週間程度でなくなります。

歯周病は痛みなく進行する怖い病気です。放置せずしっかり検査を行い進行をコントロールしましょう!