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ロイテリ菌?
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日はロイテリ菌ついてお話ししていきます。
【目次】
1.バクテリアセラピーとは?
2.プロバイオティクス
3.ロイテリ菌とは?
1.バクテリアセラピーとは?
みなさん、“バクテリアセラピー”ってお聞きになったことはございますか?
バクテリアセラピーは、治療や予防に利用されるバクテリアを用いた治療法です。通常、私たちはバクテリアを病原体として考えますが、バクテリアセラピーでは、特定の有益なバクテリアを体内に導入することで、健康や治療効果を促進することを目指します。乳酸菌などがその例です。
バクテリアセラピーは、主に以下の2つの形態で行われます。
- プロバイオティクス:これは、体内に有益なバクテリアを供給することで、腸内の微生物叢(腸内フローラ)のバランスを改善し、健康を促進する方法です。プロバイオティクスは、乳酸菌やビフィズス菌などの特定の菌株を摂取することで、消化器系の健康や免疫機能の向上に寄与することが知られています。
- Fecal Microbiota Transplantation: FMT(FMT):これは、健康な人から取得した腸内微生物叢を、疾患を抱える患者に移植する方法です。再発性クロストリジウム・ディフィシル(Clostridium difficile)感染症や、クローン病や潰瘍性大腸炎などの難治性炎症性腸疾患等に対して欧米を中心に最近行われている治療法です。
歯科では主にプロバイオティクスの方法で行われます。
2.プロバイオティクス
プロバイオティクスとは、ただの善玉菌ではなく、胃酸などによって菌数が減ることなく、しかも納豆菌の様に一時的に腸内に滞在したり通過するのではなく、口腔・胃・腸内などにきちんと定着する細菌療法のことを言います。
プロバイオティクスの一つである、L.ロイテリ菌の摂取は、小腸のなかのCD4陽性T細胞の数を増加させ、集合体化したCD4陽性T細胞を増加させます。CD4陽性T細胞は重要な役割を持つ細胞であり、抗原と腸上皮の病原体に対する正常反応を制御します。
3.ロイテリ菌とは?
L.ロイテリ菌はヒト由来の善玉菌で、胃酸や消化酵素への耐性があり、特に口の中に定着しやすい性質があるなど、プロバイオティクスとして望ましい特性があります。
これらの菌は、乳酸発酵を行い、糖分を乳酸に変える特徴があります。ロイテリ菌は、食品の発酵において重要な役割を果たすだけでなく、人間の消化器系や女性の膣内など、さまざまな生態系に存在しています。ロイテリ菌は、人間の健康に対してさまざまな利点をもたらすとされています。例えば、腸内細菌叢の一部として、消化を助ける役割を果たし、免疫システムの機能を向上させることが知られています。また、膣内のロイテリ菌は、病原菌の増殖を抑制することで女性の健康を保護する役割を果たすと考えられています。ロイテリ菌は、歯科領域でも有効性が示されています。以下に、歯科での主な有効性について説明します。
<口腔内に対して>
- 歯周病や虫歯の原因菌の減少(歯周病菌・虫歯菌の発育抑制)
- プラークの減少
- 中等度・重度の歯肉炎の緩和
- 歯周病治療との併用での治療効果UP
- 口臭の減少
<全身に対して>
- ピロリ菌感染の抑制
- アレルギー症状の抑制
- 母乳の質改善
- 細菌感染症の抑制
- 抗生物質副作用の軽減
- 誤嚥性肺炎の低減
L.ロイテリ菌を取り扱うバイオガイア社によると、約80%虫歯菌を抑制、歯周病菌だと90%を抑制する効果を持つと報告されています。
市販の薬用歯磨き粉や洗口剤などにも殺菌作用はありますが、善玉菌まで殺してしまいます。L.ロイテリ菌は善玉菌を増やし、悪玉菌を抑制する力を持っているため菌質から変えることができます。
よくヨーグルトなどにも乳酸菌は豊富に含まれていることが言われますが、ほとんどが腸まで届かず胃酸によって死滅してしまいます。しかしL.ロイテリ菌は90%が腸まで届き、コロニーを形成してくれるのです。
その結果、口腔内の予防だけでなく、整腸作用も促進され、便通の改善やアトピーなどのアレルギー疾患の症状も軽減することができます。
虫歯や歯周病を予防することであらゆる生活習慣病が予防されることがわかっています。
近年、メタボリックシンドロームと歯周病との関連がよく取り上げられるようになってきました。内臓のまわりに脂肪が過剰に蓄積した内臓脂肪型肥満を前提とし、さらに高血圧、血清脂質異常、高血糖のいずれか2つ以上を併せもった状態を示します。
食生活の乱れや運動不足、睡眠トラブル、過度なストレスなどによって健康が損なわれていきます。病気は一度に起きるものではく、生活をしていく中で時間を追って、ドミノ倒しのように病気は徐々に発症していきます。大きな波になってしまうと手に負えなくなってしまいます。なるべく上流での予防が効果的になります。
虫歯をつくらない、歯周病をケアすることが全身の健康への近道です。崩れる時はドミノのように一気に健康も崩れてしまいます。そのために「予防歯科」からメタボリックドミノにならないように生活習慣の改善を始め、健康寿命をのばしましょう。健康な歯の本数が多い方、歯科医院で定期検診を受けている方は、糖尿病や認知症になりにくいことがわかってきています。お口の健康から全身の健康を維持・管理していきましょう!