国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

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インシデント・アクシデント

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日7/29(土)、今日7/30(日)とストローマンフォーラムが開催されています。その中で神経損傷の対応などが講義されていました。今日は、歯科治療における注意すべきインシデント・アクシデント・ヒアリハットについてお話しします。

1.注意すべきトラブル

医療の臨床現場での「ヒヤリ・ハット」は、そのミスやエラーが患者さんへの直接的な事故・被
害につながらなかった事例のことをいいます。毎日の診療の中で起こるこのような「ヒヤリ・ハット」の発生は、院内での共有が重要であり、再発しないよう機管理意識の徹底をしスタッフ全員での注意が必要です。

<ハインリッヒの法則>

国立 歯医者 ヒアリハット

<ハインリッヒの法則>

労働災害における経験則の一つです。1 つの重大事故の背後には 29の軽微な事故があり、その背景には300の異常が存在するというものが「ハインリッヒの法則」です。

国立 歯医者 ヒアリハット

氷山の一角のように、表に現れているのは事故の一部にすぎないです。目に見えているのは物事起きてしまった事故のごく一部です。表には現れていない私たちから見えないところには、まだまだ大きな、重大な事故が潜んでいるということをも示しています。常に注意をし、ヒヤリハット・インシデントレポートを作成し共有することが重要です。

歯科で起こりやすいヒヤリハット・インシデント

インシデントは、(1)局所的インシデント(2)全身的インシデントに分類することができます。

<局所的インシデント>
① 口腔内への落下・消化管への落下・呼吸器への落下
インシデント・アクシデントの中で最も多いのは、補綴物や器具などの口腔内への落下、消化管への落下(誤飲)、呼吸器への落下(誤嚥)です。落下の多くはインレーやクラウンなど補綴物の試適、装着、除去に伴うものであるが、「タービンを口腔内で回転させた時にバーが外れて口腔内に落下した」、「手用スケーラーなどの器具ののシャンクから先が折れ先端が口腔内に落ちた」、「バキュームチップが口腔内で外れた」など器具、器械が原因となったものもあります。誤飲の原因も、補
綴物に関連したものが大部分を占めているが、印象材や総義歯の床裏層材など流動性の高い材料を
使用した場合にも生じています。チェアーポジションを工夫したり、ラバーダムの使用や、口腔内にガーゼを置くことで対策が可能です。

② 口腔粘膜の損傷
口腔粘膜の損傷が次いで多く発生しています。ほとんどはタービンバーの誤操作による舌あるいは頬粘膜の損傷です。また埋伏している親知らずの抜歯に際に骨切削器具が歯肉を巻き込み、舌側歯肉を損傷してしまうこともあります。

③ 針刺し
針刺しは 麻酔のリキャップ時に多く発生しています。リキャップをせずそのまま廃棄することや、すくい上げるようにリキャップすることで対策が取れます。

④ 出血
出血が問題となるケースは、 外科処置後の後出血です。抗血栓薬や抗凝固薬を服用していたケースが 多いため事前の問診が重要になります。基本的には圧迫止血などの局所止血で対応可能であるが、出血が止まらず、縫合止血するケースもあります。

⑤ 器械・器具の誤穿刺
器械・器具の医療従事者に対する誤穿刺があります。器具洗浄時や準備片付けの際に起こります。「滅菌の最中、ファイルが指に刺さった」「訪問先で義歯調整中に使用したエバンス刀を片付けをしている際に落として足に刺した」「診療後の片付けの際のエンジンリーマーによる針刺し」など準備片付けの際には注意が必要です。

⑥ 上顎洞への迷入
残根抜歯やインプラント体の迷入させてしまうケースもあります。口腔外科で摘出手術を行う場合があります。

<全身的インシデント>
① 意識消失
意識消失は、局所麻酔後に生じる可能性があります。救急搬送するケースもあります。麻酔によるショックによる意識喪失や、糖尿病患者さんの場合低血糖昏睡も注意が必要です。インスリン注射後に来院し、低血糖発作から意識消失を起こしてしまいます。アポイントを取る時に、糖尿病患者さんは決まった時間に食事をしている患者さんが多いため注意が必要です。

② 意識レベル低下
意識レベル低下も局所麻酔後に生じています。一過性のものが多く、経過観察後に回復して
いたが、酸素吸入などの対策も必要になります。

③ 気分不快
気分不快も局所麻酔後に生じます。治療後に気分が悪くなり、チェアーで少し休憩をしていただくけーすもあります。体調不良や疲れ、緊張、寝不足、過度の空腹などでも起こりやすくなります。

④ 血圧上昇
局所麻酔役の使用では血圧上昇を起こします。バイタルチェックしなが
ら処置を行うことでチェック可能になりますが全てのケースでバイタルチェックすることも難しいっです。高血圧の方にはバイタルチェックしながらの治療を行うことで管理が行えます。血圧が高くなりすぎると治療を中断するケースもあります。

⑤ アレルギー反応
局所麻酔後に、蕁麻疹および咳などの発作が出現し、内科でステロイド点滴投与と
気管支拡張薬吸入を行って対応することがあります。


どんなに気をつけても気をつけすぎということはありません。日常からヒアリハットは潜んでおり、その経験を共有し未然に予防することがもっとも重要です。今日はヒアリハット、インシデントについてお話ししました。明日は注意すべき神経血管などの解剖学的構造についてお話しします。