ブログ
メンテナンスについて
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は昨日に引き続き歯周病に関してお話しします。その中でもメンテナンスについてお話しします。
1.メンテナンスとSPT
メンテナンスについて日本臨床歯周病学会HPにはこのようにあります。
メインテナンスとは歯周病を再発させず、健康な状態を維持していくための定期的な治療のことです。治療が終了した後は、3~6ヶ月ごとの定期検診の受診をお勧めします。歯周病は細菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患です。歯と歯肉の境目(歯肉溝)の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞(歯垢の蓄積)し、歯周病が再発します。したがって、この細菌の停滞(歯垢の蓄積)を除去し続けることで歯周病の再発を予防することができ、お口の健康を維持することができます。細菌の集団である歯垢は、毎日の適切なブラッシングでほとんど除去することが出来ます。しかし深い歯周ポケットの中や歯並びの悪い所にある細菌はブラッシングでは除去できません。これらは歯科医院にて専門的なクリーニング(PMTCといいます)を行なうことによって除去することができます。
歯周病は再発の多い病気といわれています。治療により症状が改善したとしても、そこは一度歯周病に侵されたところです。治ったとしても溶けてしまった骨が完全に元通りに戻るわけではなく、ほとんどが歯と歯肉がそっと寄り添うような形で治っているのにすぎません。油断は禁物なのです。ブラッシング不足や、メインテナンスを怠ると細菌が活動しはじめ歯周ポケットが深くなります。そして容易に再発をおこします。
また残念ながら治療に限界があるため、部分的に治りきらないところが残ることもあります。しかしそのような部位でもメインテナンスを継続することにより、歯周病の進行を食い止めることができます。
また、日歯周誌にこのように掲載されています。
サポーティブペリオドンタルセラピー SPT:supportive periodontal therapy
歯周基本治療、歯周外科治療、口腔機能回復(修復・補綴)治療により病状安定となった歯周組織を維持するための治療。口腔衛生指導、専門的機械的歯面清掃(PMTC)、ポケット内洗浄、スケーリング、ルートプレーニング、咬合調整などの治療が主体となる。
メインテナンスmaintenance
歯周基本治療、歯周外科治療、口腔機能回復(修復・補綴)治療により治癒した歯周組織を長期維持するために健康管理である。歯周病はプラークコントロールが不十分だと容易に再発することから、定期的なメインテナンスが必須である。患者本人が行うセルフケアと歯科医師歯科衛生士によるプロフェッショナルケアからなる。
2.メンテナンスの目的
<目標>
1.病変の発症の防止
2.既存の病変の進行の防止
3.処置後の病変再発の防止
ShallhornとSnider 1981
<メンテナンスの移行に望ましい状態>
- 歯肉溝3mm以下
- BOP(-)
- 排膿(-)
- 垂直的骨欠損がない
- 根分岐部病変がない
- 歯肉・歯槽粘膜に問題がない
<メンテナンスの分類>
- 予防的メンテナンス
- 試行的メンテナンス
- 妥協的メンテナンス
- 治療後メンテナンス
①予防的メンテナンス
健康な歯や歯周組織を維持するためのメンテナンス。初期治療で良好な結果が得られ、メンテナンスに移行する場合も含まれます。プロービング値、炎症の有無、プラークコントロールの状態をチェックします。
天然歯の素晴らしさを伝えること理解することが重要です!
②試行的メンテナンス
最小幅の付着歯肉や根分岐部病変などの発病の危険性の高い部分の評価を行いつつ疾病をコントロールしようとするメンテナンス。基本的なチェック項目に追加して根分岐部や歯肉・歯槽粘膜の状態の変化がないか等をチェックします。
患者さん個々の問題点に着目することが重要です!
③妥協的メンテナンス
歯周外科処置後等の積極的な治療が必要であっても、そのまま維持していく場合のメンテナンス。試行的メンテナンスのチェックに加え、排膿の有無、縁下付着物の確認、歯の動揺や歯槽骨の変化をチェックします。必要に応じてポケット洗浄や投薬も行います。
問題点を十分説明し理解していただくのが重要です!
④治療後メンテナンス
積極的な歯周治療の後、疾病の再発を予防するために行うメンテナンスで、「積極的な治療」の程度によりメンテナンスの内容も変化します。コンタクトの状態や補綴物の変化、ナイトガードの確認、歯槽骨の変化を確認します。必要であれば咬合調整を行います。
インプラントや補綴物に要注意!SETして終わりではない!
<メンテナンスのチェックポイント>
歯牙 | カリエス 咬耗 摩耗 動揺 コンタクトの状態など |
歯周組織 | 歯周検査数値 BOP 歯槽粘膜の状態 歯肉の状態など |
X線写真 | 歯槽骨の変化 歯髄の状態 インプラントの状態など |
咬合 | 咬耗 動揺 補綴物の不適合・破損など |
セルフケア | 歯肉縁上のプラークコントロールなど |
リスク部位 | 外科処置をした部位 失活歯 ブリッジ 連結冠など |
口腔内の状況に合わせて、器具機材の特徴・プラークの性質を選択します。
歯牙の保存には定期的なメンテナンスが必要不可欠です。一番大事なのは患者さんご自身でのセルフケアです。1年365日、少なくても朝昼晩の3回の歯ブラシだと回数はなんと1095回にも及びます。その中で歯科医院でのプロフェッショナルケアは、3ヶ月に一度だと年たったの4回です。いくら定期的に歯科医院に通っていてもご自身でのケアなしでは健康な口腔内は維持できません。歯磨き方法も一度マスターすれば忘れてしまうような技術ではございません。最後まで読んでいただいた方は、すでに高いモチベーションの方だと思います。この機にセルフケア能力をさらに一段階挙げて口腔内の環境維持・改善に努めましょう!当院も全力で協力いたします!