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歯科材料について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は歯科材料についてお話しします。
1.石膏
まず、歯医者さんには欠かせない材料の一つである石膏についてお話しします。みなさん石膏と聞いてまず何を思い浮かべますか?
石膏製品は、いろいろな機械類の成型からマネキン人形の素材、汚水処理剤、鑑識捜査の足型など、生活と産業を支える素材として、いたるところで活躍しています。歯科や医療の現場でも使われています。骨折などの際に患部を安静に固定するのにつかう「ギプス」や、歯科現場での模型にも石膏が使われています。さらには食品添加物としても石膏は使われています。ビールや豆腐の製造の際に使われています。食品添加物として使われ、カルシウムの強化や水の硬度調整用として用いられます。
<歯科用石膏>
歯科の場面で、模型用材料として使われる石膏は以下の特徴があります。
- 緻密で正確に再現できる。
- 適度な流動性がある。
- 硬化後、強さ、硬さがあり、加熱しても変形しない。
- 膨張、収縮が少ない。
- 技工操作が簡単にできる。
- 補綴物と接触しても変質しない。
石膏の硬化を早めるためには?
・水量を少なくする
・水温を高くする(30~40℃まで)
・練和時間を長くする
・練和速度を速くする
・3~5%の食塩水を使用する などがあげられます。
模型の保管方法は?
・変形防止のため、トレースタンドに立てて水平に保持する
・アルジネート印象材や寒天印象材は乾燥すると収縮や変形を起こしやす
いため、湿度の高いところで石膏を硬化させる
石膏は歯科医療の現場ではほとんど毎日利用する材料になります。石膏は、強度(硬さ)によっても分類されます。
①普通石膏
研究用模型や、個人トレー作成のための概形印象の模型を作成する際に利用します。結晶の型はβになります。圧縮強さや硬度は小さいです。表面も多孔質で粗いため、精密な作業模型には向いていません。
②硬質石膏
作業用模型を作成する際に利用します。結晶の型はα型です。圧縮強さや硬度は普通石膏より大きいです。表面も緻密で滑沢になります。
③超硬質石膏
修復部の作成などの際に使われます。圧縮強さや硬度は、硬質石膏よりさらに大きくなります。
2.即時重合レジン
レジンについては以前の記事も併せてご確認ください。光硬化型コンポジットレジンについてはお話ししたので、今日は即時重合型についてお話しします。
熱や光を使用せず、粉と液を常温で混ぜあわせることで重合・硬化するレジンのことです。粉はポリマーを主成分、液はポリマーを溶解させるためのモノマーを主成分とし、そのほか重合開始剤や顔料が配合されています。加熱重合レジンと比較して、熱収縮を低く抑えられるため寸法精度に優れ、操作性も比較的良好です。一方、重合度が低く残留モノマーが多い(3~5%)ため、強度や耐摩耗性は低く、吸水性が高いのが欠点です。使用の用途としては、プロビジョナルレストレーション(仮歯)や義歯の修理などが挙げられます。
<仮歯>
仮歯とは、歯を治療する際に一時的に装着する人工的なかぶせ物のことをいいます。レジンという歯科用のプラスチックの材料でできたものになります。仮歯の期間を経て、最終的なかぶせ物へと移行していきます。
<仮歯の役割・目的>
●刺激から守る
神経が残っている歯の場合は、削った面がむき出しの状態だと冷たいものや温かいもの、歯ブラシの刺激などで痛みが出てしまいます。
●周りの歯の移動を防ぐ
被せ物が入っていない状態で隙間があると周りの歯はスペースの方に動いてきます。最終的なかぶせ物が出来上がるまでの間に周りの歯が動いてしまわないように仮歯を入れます。
●食事をしやすくする
被せ物を入れても噛めなければ意味がありません。食事による力を加えても痛みが出ないことを事前に確認します。
●見た目を良くする
特に前歯の審美エリアの治療中に仮歯がない状態だと審美性を大きく損ねてしまいます。治療期間中でも見た目を気にせず過ごすためにも仮歯はとても重要な役割を果たします。
●最終的なかぶせ物をする前の評価をする
最終的なかぶせ物に置き換える前に、仮歯で本当にその形態でよいのか、歯茎の状態はどうか、ブラシは当てやすいのかなどを確認し評価します。
※当院では、仮歯治療は自由診療となります。1本あたり3300〜5500円(税込)となります。仮歯の材質により異なります。
<仮歯の注意点>
●硬いものは気を付ける
仮歯はプラスチックでできているため割れてしまう可能性があります。仮歯のところでは硬いものは積極的に噛まないよう気をつけてください。
●ガムやキャラメルなどの歯にくっついやすいものや粘着性のあるものは控える。
仮歯は仮着用のセメントでつけているため外れやすいです。万が一外れてしまってもご自身で接着剤などでは決してつけないでください。
●フロスなどの使い方に気を付ける
上下に引き抜きながら動かすと外れる可能性があるため横から引き抜くと外れにくいです。ホルダー付きのフロスだと横に引き抜くことができないため、紐状のフロスの使用をお勧めします。
治療が複雑な方や、治療範囲が広い方などは、仮歯をステージごとに作り替える場合もあります。歯周外科や抜歯後のBrの仮歯、インプラントの仮歯などでは装着期間が長くなることがあります。
仮歯は最終的なものが入るまでの一時的なものになります。仮歯を入れたことで最初よりしっかり噛めるようになり、そのまま治療を勝手に中断し来院しなくなってしまう患者さんが稀にいます。そのようなことは決してしないようにお願いいたします。仮歯で中断してしまった場合、破損や状態が悪化したとしても責任を取ることが難しくなります、あらかじめご了承ください。
今日は比較的よく使う材料についてお話ししました。歯科材料はまだまだ多くあります。また機会を見つけてお話しします。