国立駅南口徒歩30秒のサンドラッグ3階の歯医者

ブログ

Vital Pulp Therapy

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日はVPT:Vital Pulp Therapyについてお話しします。


【目次】
1.Vital Pulp Therapyとは?
2.Vital Pulp Therapyのメリットとは?
3.Vital Pulp Therapyのデメリットとは?


1.Vital Pulp Therapyとは?

生活歯髄療法には、

Indirect pulp capping(間接覆髄法)
Stepwise Excavation(暫間的間接覆髄法)
Direct pulp capping(直接覆髄法)
Partical pulp capping(部分的断髄法)
Full pulp capping(覆髄法)


などがありますが、Direct pulp capping(直接覆髄法)を指す場合が多いです。
神経まで到達する大きい虫歯の場合、保険治療では歯の神経を全て取ってしまう治療が必要になります。しかし健康な歯を多く削る必要があり、それにより歯がかなり脆くなり、結果的に歯の寿命が大幅に短くなってしまうことが多いです。

VPTでは神経を保存することが可能な場合があります。MTAという薬剤の普及により可能になりましたが、日本ではまだ認可が下りていないため保険適応外(自費診療)になります。


MTAセメントとは?

歯の成分に含まれるカルシウム(二酸化ビスマス・ケイ酸二カルシウム・ケイ酸三カルシウム・アルミン酸カルシウム・石膏)を主成分とした歯科用セメントです。殺菌効果が非常に高く、虫歯の不活性化をはじめ、神経の保護や根管の内部を埋める根管充填など、様々な処置で使用されています。

①殺菌効果が高い

MTAセメントは強アルカリ性(ph12)の性質を持つため、ほとんどの細菌を死滅させる事ができます。虫歯の細菌に感染した歯髄でも、この殺菌効果を利用する事で神経を保存できる可能性が高まり、歯の寿命を伸ばすことができるようになりました。

②生体親和性が高い

生体親和性が高い事も特徴の一つです。歯に空いた穴を詰めたり、歯根の尖端部分を塞ぐなど、硬組織形成作用による周辺組織の修復が可能です。

③封鎖性が高い

一般的なセメントは硬化する際に少し収縮するため、隙間ができやすく細菌の繁殖のスペースを残してしまい、再発のリスクが高くなってしまいます。しかし、MTAセメントは硬化をしながら膨張する性質があるため、隅々まで緊密な封鎖が可能となり、隙間なく埋める事で細菌の繁殖を抑制できます。

④親水性が高い

MTAセメントは親水性が高いため、多少の水分があっても問題なく適切な処置が可能です。歯科治療において、完全な乾燥状態での処置は不可能なのでとても重要な特徴です。


VPTでは虫歯を除去し露出した神経の一部のみを切断します。神経の切断・消毒後MTAセメントというセメントを充填することにより、神経の無菌化と、炎症を抑え神経を大部分温存することが可能です。
神経を残すことにより歯の強度を保ち、従来の方法よりも歯を削る量も少なく出来ます。


<VPTの流れ>
ラバーダムを装着し虫歯を徹底的に取りきり、感染が考えられる神経を滅菌された器具で一部除去し、消毒後MTAセメントを充填していきます。充填後、封鎖の高い蓋をし経過観察を行います。その後、歯の神経の保存を確認できたら、仮蓋を除去して、治療を進めていきます。

2.Vital Pulp Therapyのメリットとは?

・自分の歯を残す可能性が高まる
・神経を温存できる
・歯を削る量が少なくなる

神経を生きた状態で残すことで、歯の寿命を伸ばすことが可能です。抜髄(神経をすべて抜く根管治療)と比べて、削る量を少なくすることができるので、歯の強度も維持できます。神経の温存が可能であれば、治療後は「生きている歯」として健康な状態を維持することが可能です。虫歯や噛み合わせ、細菌に対しての免疫力も残すことが可能な上、歯牙内部の血液循環も維持できます。
歯を失うと、人工歯で補う必要がありますが、見た目でも機能面でも、天然の歯にかなうものはありません。

3.Vital Pulp Therapyのデメリットとは?

・根管治療が必要になった時の難易度が上がる
・冷水痛が出にくくなる
・保険適応外

MTAによるpulp cappingを行うと、根管の石灰化が起こってしまいます。VPT後何も症状がなければ問題ないですが、根管治療が必要になった際石灰化した根管の拡大は通常の作業より難易度が上がります。場合によっては根尖部までアプローチが困難な場合があります。
さらに術後は冷水痛が出にくくなります。そのため、歯の異常に早期に気付きにくくなってしまいます。またMTAは保険適応外のため、費用が高くなってしまいます。


VPTを行うには正確な歯髄診断が重要になります。また年齢も重要な要素になってきます。他院で神経を抜かないといけないと言われた方でも一度ご相談ください。