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根管治療について⑤Apicoectomy歯根端切除
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は根管治療:外科的歯内療法①についてお話しします。
【目次】
1.“>外科的歯内療法とは?
2.Apicoectomy歯根端切除について
1.外科的歯内療法とは?
根管治療で治らないときに行う外科的治療のことです。根管内部から治療を進めても根尖病巣にアプローチできない場合に行う治療法を歯内療法外科といいます。Apicoectomy歯根端切除とIntentional Replantation意図的再植があります。まずは通常根管治療を試みますが、すでに根尖部が大きく拡大されているケースや、根尖部へのアプローチが困難な場合、また除去困難なコアや補綴物の除去がためらわれる場合などに行われます。
外科処置の予後を判定する上で重要なのは、根尖部の歯牙本来の形態が破壊されている場合再治療の予後は著しく低くなります。また病変が存在する場合さらに低くなってしまいます。
Root Canal Morphology Respected(RCMR):根尖部形態が温存されている場合
Root Canal Morphology Altered (RCMA):根尖部形態が破壊されている場合
2.Apicoectomy歯根端切除について
歯根端切除手術とは、歯根周囲の歯肉を剥離し、骨の状態を確認し、感染し炎症を起こしている組織を完全に取り除きます。さらに歯根先端も切除します。
<Apicoectomy歯根端切除の流れ>
- Anestesia麻酔
- Incision切開
- Bone removal骨切削
- Root resection歯根切断
- RetroPrep逆根管形成
- RetroFilling逆根管充填
- Suture縫合
- Healing治癒
①麻酔
麻酔についてはこちらもご確認ください。外科的歯内療法を行う上での麻酔の意義は、止血効果と除痛効果を得るためです。術野が血まみれで良く見えないと作業効率が悪くなってしまいます。そのため、止血効果の強い麻酔薬(Green Lido)をアメリカから仕入れています。
②切開
どのような切開線をデザインするか?Flap(歯肉弁)についてです。
・治療を行う歯の2歯先まで切開を入れる
・フラップの大きさは術後の治癒に影響がない
・血流や術野を考慮しなるべく大きく剥離する
切開を入れる上での原則は、
①切開線は健康な骨上にいれる(骨欠損から離す)
②縦切開は骨の凹面に入れる。
③縦切開は辺縁歯肉の接戦に垂直に入れる。※ホッケーのスティック状の切開線
④全層弁で必ず剥離する。
<Flap Design>
1.Full Sulcular Flap(①triangular、②Rectangular、③papilla base)
2.Submarginal Flap(Luebke-Ochsenbein)
に分けることが可能です。
<triangular Rectangular>
(利点)
・フラップを戻しやすい
・血液供給が豊富
(欠点)
・辺縁歯肉の退縮(補綴済みの歯は要注意)
<papilla base>
(利点)
・歯間乳頭の退縮を予防できる?
・頬側で縫合が可能(操作が簡単)
(欠点)
・歯頚部付近に問題がない場合が適応のためペリオ患者にはできない
※外科処置の場合、少なからず歯肉退縮が生じてしまう。そのため、事前に説明し同意が得られない場合外科以外の方法を計画し直します。
<Submarginal Flap>
・角化歯肉が最低2mmは必要
・縫合が一番容易
・切開線上の骨状態をCTで確認が必要
(利点)
・辺縁歯肉の退縮がほとんどない
(欠点)
・瘢痕形成
・テンションがかかり、確実に戻すことが困難
③骨切削
歯槽骨が裂開している場合、または薄くなっている場合は根尖部の位置の確認が容易であるが、完全に骨に被覆している場合はCT分析を正確に行い、根尖部病変の位置を正確に計測することが重要です。
④歯根切断
根尖部3mmに側枝が集中しているため、歯根端切除は3~4mm必要である。また、ベベルをつけてしまうと象牙細管を通しての漏洩が多くなってしまうため極力ベベルをつけないようカットする。
⑤逆根管形成
3~4mmの歯根切断後、3mmの逆根管生成を行う。ベベルがついてしまった場合、最下点より深く形成しないと象牙細管を通して漏洩が起こってしまう。
⑥逆根管充填
1.Supper EBA
2.MTA
3.BC putty
4.BC sealer + BC putty ★Lid technique
⑦縫合
⑧治癒
外科的歯内療法についてお話ししました。CTなどの事前検査をしっかり行い、治療計画を立案させていただきます。成功率・良い予後のため日本では認可のまだ下りていない薬剤を使用しますので自費診療になります。他院では難しいと言われた根管治療を一度ご相談ください。明日はIntentional Replantation意図的再植についてお話しします。