ブログ
根管治療について⑦小児の歯内療法
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は根管治療:小児の歯内療法についてお話しします。
1.乳歯の根管治療について
基本的なコンセプトは永久歯根管治療と変わりません。ラバーダムを行い、感染対策を行なった上で根管治療を進めます。乳歯治療に先立ち体重から麻酔量の上限を確認します。
日歯麻誌 2023,51(1),19-23引用
①乳歯の特徴
乳歯の特徴として、歯根の離開度が大きく、湾曲も強いです。また交換期になると歯根吸収も起こり作業長の測定も困難になります。根管のテーパーも乳歯の方が大きいです。
②乳歯の根管拡大
乳歯の平均的な根管長は15.0mmです。そのため、作業長WLは2mm短くし13.0mmの場合が多いです。
僕は、モリタのZX2で作業長を測定しながらテーパーの大きいNi-Tiファイルで拡大を行います。
③乳歯の根管洗浄
洗浄については、生理食塩水、次亜塩素酸に差異がないという論文もあります。根尖孔が開いており、作業長も短くヒポクロアクシデントのリスクもあるため小児の根管洗浄は生理食塩水を用いています。
④乳歯の根管充填
ビタペックスにて根管充填を行います。
※乳歯の場合、一回法で終わらせるのが有効です。
2.Apexogenesisアペキソゲネーシス
アペキソゲネーシスとは、根未完成歯において、かつ神経の状態が健康である場合の虫歯や外傷が対象です。方法としては直接覆髄法とほぼ同様で断髄(神経の一部除去)を行い、未完成の根の成長を促す治療法です。
<アペキソゲネーシスの術式>
- カリエスの除去
- 出血のコントロール
- MTA被覆
- 封鎖
冠部歯髄をすべて除去し,根管口部から根尖までの歯髄の保存を行います。歯髄切断面へのMTAやCH の貼薬直下には第三象牙質による封鎖(dentin bridge)が形成されるとともに、根管歯髄は生活状態で保存されるため象牙芽細胞の機能が温存され、象牙質形成機能が継続するため根管壁への象牙質添加が継続します。そのため歯根未完成歯でも根管歯髄を残すことにより根尖部の生理的成長が期待できます。ただしMTAの成分により術後の歯の変色が起こる可能性があります。(アペキソ≒断髄)
3.Apexificationアペキシフィケーション
アペキシフィケーションとは、根未完成歯において、神経が死んでしまった場合の治療法です。根管の閉鎖を促す治療法です。(アペキシ≒根治)
[1966 AL Frankの研究]
根尖部形態がどういう経過をたどるかは不明です。
4.Revascularizationリバスクラリゼーション
リバスクラリゼーションとは、失活した(歯髄が死んでしまった)歯根未完成歯に抗菌剤を使用した滅菌処置と意図的出血により硬組織を形成し、歯根の長さと厚みを補い成長を促す新しい治療方法です。現在では、歯根が完成している永久歯に対してもこの治療法を応用しようと世界的にも注目があつまる最先端の歯内療法です。
※米国歯内療法学会が推奨する事項※
・若い患者であること
・壊死歯髄であり、根未完成歯であること
・機械的拡大は行わない、もしくは行ったとしても必要最低限にとどめること
・血餅をつくること、あるいはたんぱくの足場になるようなものを根管内に入れること
・緻密な封鎖を得られるもので封鎖を行うこと
根未完成歯に行うアペキシフィケーションには、決定的な欠点が存在します。それは歯根部の厚みが薄いということです。根管内部の汚れが取り除けたとしても、咬合力に耐えられなければ意味がありません。アペキシフィケーションを受けた歯は、歯根の厚みが薄いまま機能しなければならないため、咬む力に耐えきれず、歯根が壊れてしまうリスクが高いです。そして、この欠点を補う治療法として期待されているのが、硬組織の形成によって歯根の長さ・厚みを増すことが期待できるリバスクラリゼーションなのです。
歯の神経はとても重要な組織になります。歯が丈夫であるためにも、虫老や歯周病の最近に抵抗力があるのも、パキッって折れずにしなってくれるのも全て神経があるからです。可能な限り神経を残し、自分の歯を長く残すために、私たちは全力を尽くします。諦めずに一度ご相談ください!当院は、患者さんの健康のために他院より積極的に自費診療の提案をさせていただいています。この数日間根管治療についてお話ししました。この先症例が増えてきたらここにまた更新していきます。