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顎関節・咬合について③

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「顎関節・咬合」についての続きをお話しします。今回の参考教科書は「ファンクショナルオクルージョン」になります。

国立 歯医者 咬合

【目次】
1.中心位採得について
2.咬合診断について


1.中心位採得について

中心位は生理的下額位として日常的に用いられていますが、術者の誘導なしで患者さん自身に閉口させてしまうと正確な中心位採得ができません。術者の誘導なしで閉じると嵌合位で閉じてしまい、習慣性閉口位へと誘導されてしまいます。そのため中心位採得は術者のテクニックが重要となってます。

下顎を誘導する目的は、下顎を強制的に位置付けすることではないです。最も重要なのは下顎頭が緊張や痛みなどの兆候がなくしっかりと圧を受けられるかどうか、反復性や再現性がある位置かどうかの検証をすることです。(最も一般的なオトガイ誘導法は下顎を後方へ押し込み下顎頭を後下方へ無理やり押し込む傾向が強いと言われています。)

①バイテラルマニピュレーション

国立 歯医者 咬合

バイラテラルマニピュレ ーションが一貫して最も正確であり、また最も再現性が高いことがわかっています。バイラテラルマニピュレーションは素早く簡単であり、一度正しい誘導法を修得すれば、通常は数秒で中心位を決定しかつ検証することができます。

②アンテリアバイトストップ

口腔内で直接常温重合レジンでジグを作成する方法や、すでに設計されたジグを口腔内で固定する方法などがあります。

国立 歯医者 咬合

③リーフゲージ

国立 歯医者 咬合

何枚ものポリエステルフィルムでできており、様々な厚さに合わせることができます。ゲージの材質は滑沢なので下顎は水平的に動くことができ下顎頭は上方に収まります。外側翼突筋の緊張を解くためのディプログラミング装置として用いることができます。

<注意点>

国立 歯医者 咬合

不適切に製作されたアンテリアストップ (A) は下顎頭を後方へ偏位させる可能性があります。また同様にリーフゲージ(B)でも、急で深い垂直被蓋を有する症例では開口筋(下顎挙上筋) を強く収縮させると 、下顎頭が後方へ偏位する可能性があります。

中心位採得は一度のみ行うのではなく、いくつか採得しその結果の再現性を比較し位置を決めていくのが有効です。誘導方や嚥下位、筋肉位などを複数再得するようしています。

2.咬合診断について

フェイスボウトランスファーを行い咬合器付着後、咬合診断を行います。

<パナデント咬合器について>

国立 歯医者 咬合

日本人の平均的な下顎三角は底辺の長さが約110㎜、高さが役89.5㎜、2斜辺の長さがそれぞれ約105㎜です。パナデントの咬合器の顆頭間距離は110になっています。

<咬合診断>

  1. 咬合平面・湾曲の診断
  2. 咬合高径の診断
  3. 機能診断
  4. 歯牙接触関係の診断
  5. アンテリアガイダンスの診断

①咬合平面・湾曲の診断

国立 歯医者 咬合

咬合平面とは歯の排列状態により決定される仮想平面のことをいいます。カンペル平面とほぼ平行な面になります。

 HIP平面
切歯乳頭とハミュラーノッチを結んだ平面が、上顎中切歯と第二大臼歯近心頬側咬頭頂を結ぶ線が最もHIP平面と近似している。

wilsonカーブ
下顎の歯牙を結ぶ面がつくるカーブ

②咬合高径の診断

科学的に実証された咬合高径(顎間距離)の測定法は現在のところなく、臨床経験上、形態的方法と機能的方法に大別され、その複数の方法組み合わせるのがいいとされています。筋肉、靭帯、顎関節の調和が取れる高さを目指します。

  • 顎関節規格撮影法
  • 顔面基準点
  • セファロ分析
  • 歯牙、診断模型計測法
  • Oリングテスト
  • ゴシックアーチトレーサー
国立 歯医者 咬合

CEJ間距離=上顎中切歯+下顎中切歯ーオーバーバイト

17.5mm

<形態的方法>

国立 歯医者 咬合高径

1.鼻根正中点・鼻下点ー鼻下点・オトガイ間距離
2.瞳孔・口裂とはー鼻下点・オトガイ間距離
3.左手の手掌の幅径ー鼻下点オトガイ底間距離
4.左手の示指の長さー鼻下点オトガイ底間距離
5.頭部X線規格写真による上顔面高と下顔面高の比から


<機能的方法>

国立 歯医者 咬合

1.下顎安静位と安静空隙の利用
2.咬合力を利用する方法
3.発音を利用する方法
3.O-ring法を利用する方法

咬合高径の設定は、安静空隙を用いる方法があります。安静空隙とは下顎安静位における上下顎の顎間距離(空隙)のことです。
下顎安静位を再現するには、
・患者さんに“m“ を発音させる
・口唇を臨めさせる
・嚥下させる
・リラックスさせる
といったいくつかの異なる方法が用いられます 。通常の安静空隙量は 2 ~ 4mmと定義されています。したがって義歯によって咬合高径を増加させるためには、現在の義歯で 4mm以上の安静空隙量が必要になります。咬合挙上を行う上でどれくらい挙上できるかも安静空隙から導き出されます。


今日は「顎関節・咬合」について、その中でも咬合診断(静的診断)についてお話ししました。明日は動的診断(機能診断)についてお話しします。