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顎関節・咬合について④
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。昨日は咬合診断(静的診断)についてお話ししました。今日は「動的診断」についてのお話しします。
【目次】
1.動的診断
2.噛み合わせは調整するべき?
1.動的診断
動的診断には、
①下顎運動検査
②顎運動検査
③咬合調整 があります。
①下顎運動検査
下顎が上顎に対し、境界運動範囲内で相対的に運動する現象のことをいいます。下顎は咀嚼や発音、嚥下の時に特徴的な運動を営み、下顎の機能時運動を機能運動とよび、ブラキシズム、クレンチングなどの非機能運動と対比されます。下顎の運動空間の境界上でいとなまれる運動を境界運動とよび、境界内で行われる習慣運動と区別しています。下顎の境界運動は、同一の軌道を通る再現性の高い運動であるためパントグラフによって測定し、咬合器上に正確に再現することができます。一方、習慣運動は境界運動範囲内で行われ、その経路が多種多様であるため、これを正確に再現することは困難とされています。
<開閉運動>
下顎はターミナルヒンジアキシスの回りに10°~13°の範囲で開閉します。下顎が中心位にあるときの軸をトランスバースホリゾンタルアキシスと呼びます。これを軸とする蝶番回転運動の範囲は明らかではないが、5°前後、開口量にして約8㎜程度とされています。
<前方運動>
前方運動中に下顎は前方に下降し、左右の顆頭は関節隆起に沿って前下方に押し下げられるます。これにより、上下顎の犬歯と臼歯はわずかに離開します。
<側方運動>
①平衡側(非作業側):前下内方へ移動する
・イミディエイトサイドシフト:側方運動時の初期に出現する正中方向へのズレ(約1㎜)
・プログレッシブサイドシフト:イミディエイトサイドシフト終了後に出現する前下内方への移動経路(直線に近い曲線)
・側方顆路角(ベネット角):側方運動時に水平面投影した平衡側下顎頭の運動経路が正中矢状面となす角度のこと。約15°
②作業側:わずかに外側移動する
・ベネット運動(運動量1㎜前後)
<下顎の限界運動>
●外側靭帯(主靭帯)
・下顎頭の外側への逸脱防止
・下顎頭の過度の前進後退を規制
●蝶下顎靭帯(副靭帯)
・開口および下顎の側方運動規制
●茎突下顎靭帯(副靭帯)
・下顎の前方移動の規制
②顎運動検査
顎運動検査には、①AXIS PASS RECORDERと②CADIAX compactがあります。
※当院には設備がございません。
③咬合調整
上下顎歯の異常な接触関係を選択的に削合(築盛)して、顎口腔系と調和のとれた咬合を得る方法です。
<目的>
1.上下顎の歯の異常な接触を取り除くことにより、咬合性外傷から歯周組織を保護する(早期接触)
2.ブラキシズム等のパラファンクションによって生ずる筋の異常な緊張や疼痛を除去する(早期接触)
3.咬合面形態を修正し咀嚼効率を高め、また食片の流れを改善して歯肉の健康を保つ
4.偏心運動時に発生する有害な側方圧を軽減し、咬合圧の均等な分散を図る
<選択削合の術前・術中の注意事項>
1.咬合器上の診断模型の精密診査と選択削合によって、垂直顎間距離の変位量を記入する
2.咬合器上での選択削合の結果、非適応症ではないことを確認する
3.術前に選択削合の意義と処置内容を、患者さんによく説明する
4.選択削合のための患者さんの来院回数は、一週間毎の三回を原則とする
(天然歯エナメル質削合はこの限りではない)
2.噛み合わせは調整するべき?
では、噛み合わせはすぐに調整するべきか?スッキリしない回答になってしまいますが答えは個人個人によります。
<咬みあわせ・顎関節症(がくかんせつしょう)の治療の順番>
ソフトスプリントの装着
現在、身体に起きている問題(不定愁訴)が咬みあわせと関係があるのか、ないのかの鑑別が重要いなります。まずソフトスプリントを装着し咬まない状態を作り鑑別します。不定愁訴とは頭痛・腰痛・肩こりなど全身に起きている症状での悩みのことです。
症状が軽減もしくは改善した場合
原因がお口の中にあることが大きく疑われます。口腔内の原因(噛み合わせなど)を調整していきます。
改善しなかった場合
口腔領域以外の専門分野に依頼します。脳神経外科、耳鼻科、整形外科を紹介させていただきます。
頭痛で歯科にかかるという考えはこれまでの常識には無かった事と思われます。しかしいくら脳神経外科や整形外科、マッサージなどに通っても症状が一向に改善傾向をしめさない方も少なくありません。
まず、第一に行うべき事は頭痛の原因が頭の外の問題なのかそれとも頭の中の問題なのかという鑑別診断を行い、原因をはっきりする事から治療は始まります。肩こり・めまいも同様です。頭痛・肩こり・めまいでお悩みの方、興味がある方一度気兼ねなくスタッフにお声かけ下さい。専門のドクターが対応致します。
数回にわたり噛み合わせの学術的なお話しをさせていただきました。顎関節や咬合はなかなかイメージしにくい分野になりまし。お話をしても一度では伝わらない、伝えられないことも多くあります。コンサルの時間はしっかり準備しますので興味のある方は当院スタッフまでご相談ください。明日はデジタルデンティストリーについてお話しします。