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健康寿命について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「健康寿命」についてお話しします。
1.健康寿命とは?
みなさん健康寿命という言葉を聞いたことはありますか?健康寿命とは、「寝たきりや認知症にならず、自立して生活できている期間」のことです。心身ともに自立し、健康的に生活できる期間のことを言います。
2000年に世界保健機関WHOが健康寿命を提唱して以来、寿命を延ばすだけでなくいかに健康な生活を送ることができる期間を延ばすかに関心が高まっています。
健康寿命が「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されているため、平均寿命と健康寿命との差=日常生活に制限のある「健康ではない期間」を表します。2019年において、この差は男性8.73年、女性12.06年でした。
前回値よりも男女とも平均寿命・健康寿命の差は縮まりましたが、今後、平均寿命が延びこの差が拡大すれば、健康上の問題だけではなく、医療費や介護費の増加による家計へのさらなる影響も懸念されます。日本は現在、「超高齢社会」と呼ばれるほど高齢者の割合が増え、平均寿命も年々伸びています。しかし、寿命が延びる=元気な高齢者が多い、というわけではありません。病気になり行動に制限がかかったり、ベッドの上で長生きすることは誰しもが回避したいと思っていることだと思います。ただ長生きするのではなく、健康に長生きする、つまり「健康寿命を延ばす」ということが大切です。
2.要介護になる原因
死亡原因 2021年度統計
- 悪性新生物(癌)26.5%
- 心疾患 14.9%
- 老衰 10.6%
- 脳血管疾患 7.3%
- 肺炎 5.1%
- 誤嚥性肺炎 3.4%
※17年度の統計から、誤嚥性肺炎と肺炎を区別して考えるようになりました。17年度の統計で誤嚥性肺炎は2.7%でしたが、21年度では3.4%と増えてきています。誤嚥性肺炎は歯科領域の疾患になります。歯科医院でのケアで予防しましょう。
要介護原因 2019年調査
- 認知症 17.6%
- 脳血管疾患 16.1%
- 高齢による衰弱 12.8%
- 骨折・転倒 12.5%
- 関節疾患 10.8%
となります。死亡原因の疾患と要介護になる原因には違いがあります。
医療技術の向上も関係しています。
近年高い医療技術、救急体制により、脳血管疾患や心疾患は死につながる疾患ではなくなってきています。しかし、一命をとりとめる事ができても、後遺症を抱え介護を必要とする方が増えてきています。
<世界から見た日本の医療レベル>
①豊富で高度な医療設備を保持するものの、医師不足が深刻な問題
日本は病床数・CT台数・MRI台数などの「医療資源」において1位となっており、豊富で高度な医療設備を保有していると考えられます。しかし、医者数においてG7内で最下位となっており、高齢化社会が進み、医療サービス需要が高まる中で、深刻な医師不足が懸念されています。
②自己負担額の安さと、医療機関への行きやすさはトップレベル
日本は国民皆保険制度です。そのため患者さんの自己負担額が安く年間診察回数や平均入院日数が多いことから、患者さんにとっては病気の際に、医療機関に行きやすい環境が整備されていると言えます。
③患者の満足度も高いトップレベルの医療技術
医療技術については、日本は適切な診療で疾患を防げる医療の質を持っており、患者さんも質の高さを実感していることが推測されます。
3.健康寿命と歯の関係
2012年にある地域の65歳以上の住人を4年間追跡した研究が発表されました。その研究で、歯が多く残っている人や残っている歯が少なくても入れ歯やインプラント治療等を行いしっかり咬める人と歯が少なく治療も行っていない人と比較すると、認知症の発症や転倒する危険性が低いという事が分かりました。
歯がほとんどなく治療を行っていない人は、歯が20歯以上残っている人や歯がほとんどなくても入れ歯によりかみ合わせが回復している人と比較して、認知症の発症リスクが最大1.9倍にるといわれています。
また、歯が19歯以下で入れ歯を使用していない人は、20歯以上保有している人と比較し、転倒するリスクが2.5倍になると言われています。さらに要介護になる原因の一位の認知症の約7割を占める「アルツハイマー型認知症」に歯周病菌が大きく関与していることがわかってきました。
4.歯を失う原因
- 歯周病(37%)
- 虫 歯(29%)
- 破 折(18%)
が主な原因になります。「歯の破折」には、「事故や怪我など大きな力がかかって折れたもの」も含まれますが、多くは「過去に大きな虫歯があったために神経を取る処置を行った歯」と考えられます。元をたどると、破折の多くも重度の虫歯によるものと考えられます。「歯の一生」についても合わせてご確認ください。
健康に、不自由なく過ごすためにタバコや過度なお酒を控えるなど生活習慣に気を付けることはもちろんですが、歯を失わないようお口の健康にも気を付けていただけたらと思います。