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すきっ歯?必要な空隙?
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。小児の混合歯列期には、永久歯列になった時綺麗に並ぶためのいくつかの重要な空隙が存在します。今日は乳歯期の空隙についてお話しします。
1.発育空隙とは?
発育空隙とは、乳歯から永久歯にスムーズに生え変わるために必要なスペースのことです。顎骨の成長により一時的に歯列に隙間ができる状態のことを言います。
「みにくいアヒルの子の時期(ugly duckling stage)」とも呼ばれ、上の前歯が生えてくる時に、やや八の字に傾いて生えてきて前歯が少し隙っ歯になる時期があります。この状態この空隙は生理的なものなので、永久歯の萌出が完了すると消失してきますので心配いりません。
奥の歯が生えてくることで徐々に正中離開が治ってくることもありますので、急いで矯正治療を進める必要はありませんが矯正科と連携して経過観察していくことが重要です。中には上唇小帯の高位付着や過剰歯などで自然に治らない場合もあります。心配な方は一度ご相談ください。
歯の萌出時期を表す、Hellmanの歯齢というものがあります。生理的年齢の歯齢(歯牙年齢)の一つで、
歯の咬合発育段階を示す指標です。
ⅠA期・乳歯萌出前(歯が生えてない時期)
ⅠC期・乳歯咬合完成前 (歯が生えはじめた時期)
ⅡA期・乳歯咬合完成期 (すべての乳歯が生えそろった時期)
ⅡC期・第一大臼歯および前歯萌出開始期 (永久歯が生えはじめる時期)
ⅢA期・第一大臼歯および前歯萌出完了期 (第一永久歯が噛み合うとき)
ⅢB期・側方歯群交換期 (横の歯が生え変わる時期)
ⅢC期・第二大臼歯萌出開始期 (永久歯に生え変わった時期)
ⅣA期・第二大臼歯萌出完了期 (親知らずを除く28本の永久歯が生えそろった時期)
小児期矯正が最も有効な時期は、前歯の永久歯が萌出したくらいの時期と言われています。顎骨も3次元的に大きく成長する時期なので、この時期に矯正により顎骨の成長発育が行えれば永久歯が並ぶスペースを確保することができます。乳歯の前歯が揺れ始めたら手遅れになる前に一度ご相談ください。
2.霊長空隙とは?
霊長空隙とは、乳歯列期において上顎乳側切歯・乳犬歯間、下顎乳犬歯・第一乳臼歯間に認められる空隙のことを言います。
霊長目動物に認められるためこのような名前が付けられ、永久歯交換時の調節的役割を担っています。上顎の空隙は乳前歯の交換に、下顎前歯は臼歯の交換に使われます。第一大臼歯が萌出すると下顎の霊長空隙は閉鎖されます。
霊長類の牙の噛みあわせの関係の名残という説もあります。
3.リーウェイスペース
乳歯側方歯(乳犬歯、第一乳臼歯、第二乳臼歯)の歯冠近遠心幅径の総和と永久歯側方歯(犬歯、第一小臼歯、第小章臼歯)の歯冠近遠心幅径の総和との差のことを言います。(C+D+E)-(3+4+5)のことです。上顎で約1mm、下顎で約3mm存在します。
リーウェイスペースは、混合歯列後期から永久歯列完成までの咬合関係の確立や、叢生歯列の矯正治療においてはそのスペースを利用し叢生を解消するために、重要な役割を果たしています。
乳歯の方が近遠心径(横幅)大きいので、永久歯が生えそろうスペースを確保しています。乳歯が最善の保隙装置と言われるように、虫歯で穴が開いてしまって傾斜してしまったり早期に喪失してしまうと永久歯列に影響が出やすくなってしまいます。生え変わるからいいや、ではなく乳歯の虫歯もしっかり治療しましょう。
4.ターミナルプレーン
乳歯が中心咬合位にあるときの上下顎第二乳歯(E)の遠心面の垂直的関係のことを言います。
垂直型(上下顎第2乳臼歯の遠心面が一致するもの)と近心段階型(下顎第2乳臼歯の遠心面が上顎のそれよりも近心にあるもの)が、それぞれ永久歯咬合でAngleの分類のⅠ級になる可能性が高いことから正常と考えられています。
<正常咬合>
中心咬合位において、上顎乳犬歯尖頭が下顎乳犬歯遠心隅角部に位置している場合を言います。この時、上顎乳犬歯尖頭は下顎乳犬歯と第一乳臼歯の間に、下顎乳犬歯尖頭は上顎乳犬歯と乳側切歯の間に位置し、これが上下顎の霊長空隙の位置に相当します。多くの場合、ターミナルプレーンは垂直型であることが多いです。
不正咬合の分類として代表的なのがアングルの分類です。上下第一大臼歯(6)の咬合状態を表すものとして診断の際に用います。上顎第一大臼歯の近心頰側咬頭の三角隆線が下顎第一大臼歯の頰面溝に接触している状態を I 級とします。
<Angle I 級>
上下顎歯列弓が正常な近遠心的関係にあるもの
<Angle II 級>
下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し正常よりも遠心にあるもの
Angle II 級 1 類:上顎前歯が唇側へ前突していて、一般的に口呼吸を伴うもの
Angle II 級 2 類:上顎前歯が舌側へ傾斜していて、正常な鼻呼吸が可能なもの
<Angle III 級>
下顎歯列弓が上顎歯列弓に対し正常よりも近心にあるもの
今日は歯並びについてお話ししました。小児期の空隙についてはご自身での判断が難しいので気になる方は一度ご相談ください。矯正専門医による無料矯正相談も行なっています。