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歯科での薬剤について
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は当院で処方している「薬剤」についてお話しします。
1.薬剤について
人間や動物の疾病の診断、治療または予防に医療上で臨床使用されている薬物は法律で「医薬品」と規定・記載されています。一般的には「薬剤」、「お薬」と呼ばれることが多いです。医薬品は主成分の薬物の効果を最も発揮するような形に作られています。私達はそのことをよく理解して賢く医薬品を使用することが重要です。使用方法を間違えると効力を発揮しなかったり、副作用を起こしたりすることがあります。副作用を少なくするためには決められた飲み方を守り内服することが大切です。
ジェネリック医薬品とは?
ジェネリック医薬品とは、新薬の特許が切れた後に製造販売されるお薬のことです。新薬と同じ有効成分で作られ、効き目が新薬と同等であると国に承認されたお薬のことで、欧米の国々と同じように、日本も医療費節減のためにジェネリック医薬品の使用を積極的に促進しています。
ジェネリック医薬品が低価格なのは、開発費用が少なくてすむからです。品質は新薬と同等であり、安心して服用していただけます。国が定めた医療用医薬品に求められる厳しい品質基準で承認されています。また、法律にしたがって新薬と同様に製造管理や品質管理が厳しくチェックされています。ジェネリック医薬品は新薬の特許期間が終了した後に発売されるので、この間に多くの患者さんに使用され、その効き目と安全性が十分に確認されている薬剤です。
歯科で処方する薬剤は基本的に原因療法ではなく対症療法のものが多いです。原因そのものの改善をするわけではなく、今ある症状を緩和する目的になります。薬剤により症状が落ち着いたとしても根本の原因を除去する歯科治療を受診しましょう。
2.抗生物質
抗生物質とは、感染による病気の原因となる細菌を殺すための薬です。様々な病気で処方され、まさに万能薬のようなイメージを持たれている方も多いと思いますが、「細菌」による感染症には有用ですが、「ウィルス」による感染症には効き目はありません。歯科疾患は細菌感染症が多くあります。抜歯の後に術後感染予防で抗生物質を処方することがあります。また、根の先に膿が溜まったり、親知らずの周りが腫れてしまった時なども抗生物質を処方します。先ほども述べましたが、ウイルスには効果がありません。口腔内の疾患位はヘルペスなどウイルス性の疾患もあります。診断を正確に行い、効果のある薬剤を処方しています。当院で扱っている抗生物質は以下の通りです。
ペニシリン系抗生物質
セフェム系抗生物質
セフェム系抗生物質(顆粒)
マクロライド系抗生物質製剤
アレルギーのある方や、オペ前の術前投与などいくつか種類を変えて揃えています。当院にない薬剤をご希望の方は処方箋による投薬も可能ですのでご安心ください。
3.鎮痛剤
解熱鎮痛剤として処方されることが多いです。熱を下げる解熱作用と痛みを抑える鎮痛作用がある薬です。代表的な解熱鎮痛薬はアセトアミノフェン,非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)の2種類です。
①アセトアミノフェン
アセトアミノフェンは、熱を下げる「解熱作用」と、痛みを緩和する「鎮痛作用」の2つの作用をもつ解熱鎮痛剤の代表的な成分です。医薬品としての歴史は古く1870年代に科学的な合成薬として開発され初めて臨床で用いられたのが1890年代といわれています。
脳の視床下部の体温中枢が体温の調節をつかさどっています。アセトアミノフェンは体温中枢に作用し、抹消血管を広げることで体外へ熱を逃し体温を下げる働きをします。また、体内で発熱や痛みを引き起こす原因物質に「プロスタグランジン(PG)」があります。アセトアミノフェンは、脳の中枢系でプロスタグランジンをつくり出す酵素「シクロオキシゲナーゼ(COX)」を阻害することで、熱や痛みを抑えると考えられています。こうした作用により、アセトアミノフェンはかぜやインフルエンザなどによる発熱や悪寒に、また、頭痛、生理痛、関節痛、神経痛、歯痛など様々な痛みの緩和に使用されます。
②非ステロイド系消炎鎮痛薬(NSAIDs)
NSAIDsは、アラキドン酸カスケードのシクロオキシゲナーゼ(COX)を阻害することで、プロスタグランジン類の合成を抑制します。プロスタグランジンの中でも、特にプロスタグランジンE2(PGE2)は起炎物質・発痛増強物質です。NSAIDsは主にPGE2の合成抑制によって鎮痛・解熱・抗炎症作用を発揮します。
「ロキソプロフェンナトリウム水和物」
1986年に開発され、もとは劇薬指定されていた成分ですが、安全性再評価等を経て市販薬として発売されたのが2011年です。2015年からは、多くの製薬会社からロキソプロフェン配合の一般用医薬品が発売されています。
ジクロフェナクナトリウム
アセトアミノフェン | NSAIDs | |
解熱作用 | ○ | ○ |
鎮痛作用 | ○ | ○ |
抗炎症作用 | × | ○ |
副作用 | 肝障害 | 消化性潰瘍、喘息、腎障害 |
詳細な薬理作用や発現機序に関しては別でお話しします。
4.軟膏
軟膏とは、ワセリンなどの脂肪に薬剤成分が入っています。 皮膚の保護作用があり、皮膚への刺激性が少ないので、傷や敏感なところところにも塗ることができます。保湿性に優れていますが、べたつき感があり、使用後てかりが残ることが欠点です。歯科で使用する軟膏で一般的なのは、アフタゾロン口腔用軟膏です。
デキサメタゾン軟膏
口内炎などに塗布する軟膏になります。
今回は薬剤についてお話ししました薬剤の投薬のみで治癒するケースもありますが、対症療法の場合、しっかり原因に対しての治療が必要になります。早期治療を受けるようお願いいたします。