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加熱式タバコのリスクについて

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。現在、アイコスやグロー、プルーム・テックなど続々と新製品が各社から発売されている加熱式タバコですが、従来の紙タバコと比較して影響はどうなのか?今日は「加熱式タバコのリスク」についてお話します。



1.紙タバコと加熱式タバコの違い

紙巻きタバコは直接火で燃焼させますが加熱式タバコはタバコ葉を加熱して発生したニコチンを含むエアロゾルを吸う構造になっています。葉タバコを使用するためたばこ事業法の規制対象品で、タバコとして販売されており包装にも「本製品は、たばこ製品です」と明記されています。また、加熱式たばこの包装の警告表示も「健康への悪影響が否定できません」との文言が入ることになっています。日本で販売されている加熱式タバコのパンフレットにも、「健康懸念物質を99%オフ」、「国際公衆衛生機関が優先する9つの有害性成分の量の低減率が約90%」、「有害性物質約90%オフ」等と書かれています。分煙をしている飲食店などでも紙タバコはOKという張り紙を見たことがあります。いずれもが、紙巻きタバコよりも有害成分量が減っていることを積極的にアピールしていますが、皆さんはこれを見て、加熱式たばこによる「健康障害」についてどう思いますか。

僕は今はタバコを吸いません。飲み会などで喫煙者がいると家に帰った時自分からタバコの匂いがしてくるのがよくわかります。その方が喫煙所で吸っていて、同じ空間で吸っていなくてもです。電子タバコの場合もわかります。確かに紙タバコと比べると匂い自体は弱いですが、決して無臭ではないです。

匂いや健康への配慮から日本でここ数年急速に普及していますが、実際身体や口腔への影響はまだ日数雨も浅くわかっていないことが多いです。紙タバコは燃焼させるため一酸化炭素などの有害物質が発生します。加熱式タバコの場合一酸化炭素のような有害物質は減るため、健康への害が少ないと言われています。が、、、

有害物質が減っている≠病気になるリスクが減る

タバコの煙は、「有害物質の低減率」 = 「健康リスクの低減率」ではありません。加熱たばこも受動喫煙のリスクがあります。実際アメリカでは、加熱式タバコが「紙巻タバコよりも害が少ないタバコ」とは認められていません。

2016年に発売されたアイコスは世界の10ヶ国以上で販売されていましたが、その時の世界シェアの96%が日本でした。しかし本拠地のアメリカでは、販売されていませんでした。「紙巻タバコよりもアイコスの方が、健康影響が少ないとは言えない」との判断が下され、「紙巻タバコよりも害が少ないタバコ」としては認められませんでした。その後「通常のタバコ」としての販売が承認されました。

実用から5年での人体への影響はデータ数が少なすぎる=未知の恐怖

加熱式タバコの有害性については使用され始めてからまだ日が浅いため詳しいことはわかっていません。しかしその中で「わかってきたこと」と「まだわかっていないこと」を少し整理します。

<わかってきたこと>
①ニコチンをはじめさまざまな有害物質が含まれている。
加熱式タバコから発生するエアロゾル中に含まれる有害物質は、紙巻タバコと比較して減った物質もあれば、減っていない物質もあり、更には逆に加熱式タバコの方が多くなっている物質もあります。すべての物質が低減されているわけではありません。加熱式タバコは、燃焼させないため一酸化炭素タール成分の発生が抑えられますが、「発がん性」のあるホルムアルデヒドアクロレイン等は、少ししか減りません。またニコチンもほとんど減りませんので、依存症は維持されてしまいます。

②受動喫煙による害もある。
紙巻タバコのように煙が見えて臭いもあれば気づいて受動喫煙を避けることもできますが、エアロゾルは肉眼では見えにくく臭いも少ないので避けることが難しく、気づかないうちに吸い込んでいる可能性があり危険です。飲食店などでの電子タバコもやめるべきです。気づかないうちに幼い子供が吸い込んでしまう可能性があります。

家では匂いや煙を気にして換気扇の下でタバコをすっていた方が、匂いや煙がないことから部屋の中でも吸い始め、家族や子供達に影響が出てしまっているというニュースをみたことがあります。「見えないから安全」ではなく、「見えないからこそ危険」なものも多く存在します。

<わからないこと>
①長期間使用した場合の未知のリスク
研究データも少なく使用し始めてからの日が浅いこともあり、詳しいことはまだわかっていません。
今後喫煙者や受動喫煙を受けた人の健康被害の調査が必要となります。健康への影響は、長い時間を必要とするため結果がわかるのは数十年後になります。仮に有害物質が極少量だったとしても断続的・長期の喫煙により体内に摂取されれば、有害物質が蓄積し喫煙者の健康に悪影響を与えてしまいます。

②未知の有害性物質
タバコの製品から出る物質は7000種類以上あると言われています。その全てについて健康影響が明らかにされているわけではありません。いまだ有害性が未知の物質も多くあります。PMI社がアイコスの販売申請のために米国FDAに提出した資料は、FDAが定める有害物質の内の半数程度と言われています。潜在する多くの未知の有害物質、発生する化学物質の相互作用や複合影響等も未知です。この先どのような悪影響が出るのかわからないものを摂取するのはとても怖いことです。

③加熱温度で化学物質の発生量や種類が変わる。
機械の不具合や劣化により規定の温度まで上がらず、未知の物質が発生する可能性もあります。


今日は加熱式タバコのお話をしました。明日は紙タバコ、加熱式タバコどちらにも共通する有害物質ニコチンについてお話します。