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歯の寿命

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は歯の寿命についてお話しします。

目次 

  1. 歯の一生」について 
  2. 歯の寿命を延ばすための対策 
  3. 型取りが必要な詰め物・被せ物の材料について 
  4. まとめ 

1.「歯の一生」について

皆さんは「歯の一生」がどのようなものかご存知でしょうか?まずはイラストをご覧ください。 

国立 歯医者 歯のサイクル

① 小さな虫歯ができた時は、噛む面だけなど小さい時はレジンで、隣の歯と接する部分(コンタクト)を含むような大きい虫歯は型取りを行い、金属やセラミックなどのインレー(詰め物)で治療します。レジンや金属のインレーは永久的に使えるものではありません。およそ5~6年くらい経過するとセメントが劣化し、歯とインレーの境目から虫歯になる可能性が高くなります。 

② 治療を繰り返すと健康な歯が薄くなり、歯を削った部分と神経までの距離が近くなります。神経を残せる場合は、神経を保護するセメントを入れて経過をみた後にインレーなどの処置を行います。神経の近くまで削ることで刺激が伝わりやすくなるため、強い痛みが出た場合は神経をとる処置を行います。 虫歯を取り除く治療中に神経に到達した場合も、感染した神経をとる必要があります。

④ 神経をとった歯は削られる量も多く脆くなるため、歯は割れやすくなります。歯が根本まで縦に割れると、その歯は保存ができず、抜歯になります。そのため、少しでも割れにくくするため、土台を立てて、歯を補強する被せ物クラウンを被せます。

⑤ レジンや金属のインレーも経年的に劣化し、歯のの境目から虫歯になります。痛みを感じる神経をとってしまった歯は、虫歯による痛みを感じられず、知らない間に被せ物の中で大きな虫歯になります。また、割れにくくするためにクラウンを入れていても、嚙み合わせが強い方や、経年劣化によって歯や歯根が割れることはあります。虫歯が大きすぎる場合や根が割れた場合は、その歯を使い続けることは出来ず、抜くことになります。 

⑥歯が抜けた部位は放置すると、噛み合わせに影響がでたり、他の歯が動いてしまったりするため、その部位を何かしらで補う治療が必要になってきます(補綴)。

これが、「歯の一生」です。 

どんなに小さな虫歯でも、一度虫歯になるとこのサイクルの中に入ってしまいます。そして、一度入ると、このサイクルから抜け出すことは出来ません。しかし、「虫歯の再発を防ぐこと」また、虫歯になった場合も「早期の虫歯治療を行うこと」で、サイクルの初期の所でとどめることが大切です。 

2.歯の寿命を延ばすための対策

歯の寿命を延ばすために、虫歯の再発、いわゆる二次虫歯を防ぐこと、二次虫歯の早期発見が重要です。二次虫歯は詰め物や被せ物と歯の間にできる隙間から細菌が入り込むことで起こります。隙間に細菌が入り込まないようにすることで二次虫歯を予防・歯の寿命を延ばすことができます。 

①詰め物・被せ物と歯の境目を綺麗に磨く 

境目に汚れがたまっていると、隙間ができたとき細菌が入り込みます。隙間が生じても細菌がすぐに入り込まない よう、綺麗にすることを心がけましょう。 フロスなども利用し、引っかかる場合隙間ができてしまっています。

②定期健診をうける 

隙間が生じるということは詰め物・被せ物の劣化や、欠けなどがあると考えられます。定期検診で、劣化しているところはないかチェックしてもらいましょう。

また、目視では詰め物や被せ物の中は確認できないため、1~2年に一度レントゲン写真を撮影して確認することをお勧めしています。

③詰め物・被せ物の材料を変える 

保険の金属の詰め物は、経年的にお口の中で劣化し、付けるセメントも5年ほどで劣化します。セメントは劣化すると溶け出すため、詰め物と歯の間に隙間ができてしまいます。 隙間なくぴったりはまり、劣化のおきにくい材料を選ぶことも二次虫歯の予防となります。 

3.型取りが必要な詰め物・被せ物の材料について                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

歯の寿命を延ばすため大きくなった虫歯は型取りを行い詰め物・被せ物を製作します。その時に使う材料についてご紹介します。 

①保険金属

〇 メリット

  • ・金属のため硬く、壊れにくい。

〇デメリット

  • ・銀色で目立つ。
  • ・長期間使用すると金属イオンが溶け出すことがある。
  • ・歯茎の黒ずみ、金属アレルギーの原因にもなる。
  • ・5年ほどでセメントの劣化が起こり、歯との間に隙間を作るため、二次虫歯のリスクが高い。



②CADCAM:強化プラスチックで製作する。

〇メリット

  • ・金属に比べると目立ちにくい。
  • ・金属不使用のため、歯茎の黒ずみ、金属アレルギーの心配がない。

〇デメリット

  • ・時間の経過により、プラスチックの吸水により、変色を起こす。
  • ・銀のものより強度が劣るため、噛む力が強い場合は割れることがある。
  • ・ゆがみが生じやすく、他の被せ物に比べると外れることが多い。

         


③ゴールド 

〇メリット

  • ・強度があるため、歯を削る量が少ない。
  • ・強い力がかかる部位にも使用できる。
  • ・良く伸びる素材のため、時間がたつほど歯になじみ、二次的な虫歯になりにくい。
  • ・金属イオンの溶け出しの可能性が低く、歯茎の変色や金属アレルギーのリスクが減る。 

〇デメリット

  • ・見た目が金色。 
  • ・保険診療が認められていないため自費診療になる。



④セラミック :セラミック(陶材)のみでできている。

〇メリット

  • ・歯の色に近い色で、変色もほとんど起こらず、審美的に優れる。
  • ・汚れが付きにくい。
  • ・セメントとの相性がよく、長期間使用しても歯と詰め物・被せ物のの間に隙間は生じにくく二次カリエスのリスクが低い。
  • ・金属アレルギーの心配がない。 

〇デメリット

  • ・透過度が高いため、今後の変色が予想されるような神経をとった歯にはあまり適さない 
  • ・保険診療が認められていないため自費診療になる。



⑤ジルコニア :人工ダイヤモンド 強度も強く、体に安全な材料です

〇メリット

  • ・歯の色に近く、変色もほとんど起こらず、審美性に優れる。
  • ・汚れが付きにくい。
  • ・セメントとの相性がよく、長期間使用しても歯と詰め物・被せ物のの間に隙間は生じにくく二次カリエスのリスクが低い。
  • ・金属アレルギーの心配がない。
  • ・歯よりも硬い材料なため、咬む力が強い方や、歯ぎしりをする方も安心して使用できる。 

〇デメリット 

  • ・ジルコニアのブロックから削り出して製作するため単色になってしまう。 
  • ・保険診療が認められていないため自費診療になる。



⑥ジルコニアセラミック:ジルコニアフレームにセラミックスを焼き付けて製作したもの。

〇メリット

  • ・セラミックを焼き付けるため、色調をより自然な歯の色に近づけることができる。
  • ・ジルコニアフレームにより、透過しにくくなるため、今後変色の恐れがある根の治療を行った歯や変色している歯に適している。
  • ・汚れが付きにくい。
  • ・セメントとの相性がよく、長期間使用しても歯と詰め物・被せ物のの間に隙間は生じにくく二次カリエスのリスクが低い。
  • ・金属アレルギーの心配がない。

〇デメリット

  • ・保険診療が認められていないため自費診療になる。

このように比較してみると、セラミック、ジルコニアは金属・CAD/CAMと比べ審美性に優れるだけでなく、二次カリエスのリスクを下げてくれます。また、金は銀と同じ金属類ですが、金属イオンが流出されにくい貴金属のためアレルギーの心配が少なく、また、金特有の伸びやすさにより、二次虫歯のリスクを下げる事ができます。 

4.まとめ

繰り返す虫歯の治療により、健康な歯はどんどん減っていきます。虫歯になり治療を行った歯は、「寿命を延ばす」ということに気を付けることが重要です。

つまり、「虫歯の再発」「虫歯の早期発見」に気を付ける、ということです。 

虫歯の治療で詰め物、被せ物を行うときは、審美的な改善だけでなく、二次虫歯のリスクを下げることの大切さも考慮して材料の選択をされてみるのはいかがでしょうか。 

そして今までのブログでも話してきましたが、定期健診は必ず受けましょう。

3か月に一回の定期健診を4年間継続すると歯周病のリスクが低下すると科学的に実証されています。定期健診の開始時期が35歳以下の場合、45歳以上で開始した場合より、歯を失う本数が四分の一に減るといわれています。

定期健診は虫歯の予防だけではなく歯周病の予防にもなります。歯周病も進行すると歯を失う原因となります。ご自身でも日々のお手入れで汚れが残らないように気を付けましょう