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PMTCについて
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、「PMTC」についてお話ししていきます。
こちらはPMTCを始めて提案したスウェーデンのP.Axelssonアクセルソン博士の有名な論文になります。併せて紹介していきます。
PMTC:(Professional Mechanical Tooth Cleaning)とは、歯科医院で行われる専門家による徹底した歯面清掃のことを指します。つまり、「歯科医師、衛生士による往復運動式のブラッシング装置とフッ化物入りペーストを用いて、歯と歯の間も含め全ての歯の表面と歯茎の内部に至るまでの磨き残しを取り除く方法」のことです。専用の機器と専用の薬剤、フッ化物入り研磨剤を使用して、歯みがきで落とせない歯石や磨き残したプラークを中心に全ての歯面の清掃と研磨を行い、う蝕や歯周病になりにくい環境を整えます。
論文について
2004に発表された論文ですが、過去30年間行ってきた予防処置の結果について述べられています。
<Back ground>
- 1971-72年に齲蝕原生細菌と歯周病原生細菌の関連するプラークの前向き研究が最初に行 われた。
- ヒトにおいてブラッシングを行っていない状態で、50%ショ糖溶液で1日9回うがいしてもう。
→3週間以内でカリエスの進行 - 0.2%クロルヘキシジンで1日2回洗口すると、 プラーク形成が抑制できカリエスができなかった。
- 疫学調査において年齢、OHI、歯周疾患 (PI)と 強い関連がみられた。
- Waerhaugらは20-59歳の800人以上の被験者 を対象に口腔衛生状態を観察し、5年間、2-4回/年のリコール、SPTを行った。
→1. 約60%が歯肉の状態が改善
→2. 歯の喪失は予想の50%であった
<Purpose>
1972年に報告した歯の喪失、カリエス、アタッチメントロスに関する予防プログラムを30年行った結果を評価・再検討すること。
<Material and methods>
・1971-72年の被験者550人以上
・長期間の予防処置 (professional care & self care)を行い、齲蝕、歯周疾患、歯の喪失数を調査する。
・Test群:375人 Control群180人
<Results>
Test群:375人
Group 1:20-35歳
Group 2:36-50歳
Group 3:51-65歳
脱落者は最初の15年で58人、のちの15年で60人
Dropoutの内訳は、
49人が死去、61人が転居、8人が関心の喪失
歯の喪失数は、
G1:0.4本/人、0.01本/年
G2:0.7本/人、0.02本/年
G3:1.8本/人、0.06本/年
G3での残存歯数は、
1972年 20本以上:約60% 26本以上:約20% 2002年 20本以上:約95% 26本以上:約65%
G3においての歯種別の残存歯の割合は、
前歯29本 (19人)
小臼歯58本 (44人)
大臼歯86本 (67人)
喪失理由は、
歯根破折、根吸収、齲蝕、歯周疾患の進行
プラーク付着の割合は、
1972年:すべてのグループで50-60%
2002年:すべてのグループで20%以下
30年間の齲蝕罹患数は、
齲蝕なし 107人
6本以上 10人
全グループで30年間で1本以下の齲蝕数
G3のDMFS指数
1972年 Intact 35% Missing 25%
2002年 Intact 55% Missing 5%
CPITN
1972年 27%がscore 2, 3, 4
2002年 1%がscore 2, 3, 4
Probing attachment levelについては、6,15,30年後に評価
全Gで近心、舌側でわずかにgain
G1では、頬側は30年間でわずかにloss (0.2mm) 30年間で2-4%が2mm以上のloss
G3の1972年のPALは、
3mm以上:50%
4mm以上:20%
2002年では95%がほとんどlossなし
(1%が4mm以上のlos)
G3の近心のPALの歯種別数値は、
全顎的に2002年より1972年の方が1-1.5 mm高い。
<Discussion>
30年間のメンテナンスで高水準の口腔衛生状態を維持できいました。またメンテナンスに定期的に通い、普段からのセルフケアでプラークコントロールが徹底可能であれば歯牙喪失の予防も可能であると考えています。