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チタンについて
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は「チタン」についてお話しします。インプラントなどにもチタンは使われていますが、今日は被せ物のチタンについてお話しします。
【目標】
1.チタンとは?
2.適応症
3.メリット
4.デメリット
5.自費のチタンとは
1.チタンとは?
チタンは主な金属の中で、最も金属アレルギーを起こしにくいと言われています。そのため、純チタン製の被せ物は金属アレルギーを有する人に対しても有効な治療法となります。純チタン製の被せものは、従来の金属の被せ物と同じように溶かした金属を鋳型に流し込んで製作します。見た目に関しても、従来の金銀パラジウム合金製のものと変わらないように見えます。
2.適応症
大臼歯におけるう蝕、歯髄疾患、破損(破折)、脱離、不適合、冠破損(破折)、冠脱離、冠不適合に対する治療に用いられます。
3.メリット
①金属アレルギーを起こしにくい
チタンは金属の中で、最も金属アレルギーを起こしにくい金属と言われています。そのため、他の金属より金属アレルギーを起こすリスクが低いです。
②高強度
金属製で強度が強いため、強い咬合力がかかる部位でも使用することが可能です。
③厚さを薄くできる
金属の強度があるため薄くても作成が可能です。そのため歯を削る量が少なくて済みます。
4.デメリット
加工が難しい
チタンは強度が高く、加工が難しい材料です。切削すると火花が散るほど硬いです。再治療が必要になり、除去するのが大変です。チタンの製作もすべての技工所で行なっているわけではございません。
2022年4月から「レジン前装チタン冠」が新規に保険導入されました。その2年前の2020年6月に保険導入されたチタンクラウン冠と合わせ、チタンの仕事が一気に増えました。この保険で注意すべき点は、保険適用されるのは、「純チタン2種を用いて全部鋳造方式で製作された歯冠修復物の唇面又は頬面を硬質レジンで前装前歯において単独冠で用いる場合」とされており、鋳造以外の方法で製作されたものは保険適用とはなりません。つまり、CAM機での削り出しによるチタン技工物はまだ保険対象外となってしまいます。チタン鋳造は、チタン鋳造機など特別な設備投資が必要になることもあり、自社内で行っている技工所さんだけでなく、外注に頼られている技工所様も多く、作成可能な技工所が限られてしまいます。
5.自費のチタンとは
以上の様に、チタンは金属アレルギーの少ない素材になりますが、その反面技工操作が大変という欠点もあります。さらには保険適応の場合、作成方法や部位に条件があります。
では、保険適応以外のチタンにはどの様なものがあるのか?
保険適応外のチタンを使用するケースは主に、
①インプラント
②入れ歯
の2通りがあります。
<インプラント>
歯科用インプラントは、主にチタン製のフィクスチャーを顎骨の中へ埋め込み、その上に歯を作る治療を指します。昔の研究ではインプラントは骨貫通タイプや骨膜下タイプ、骨内ブレードタイプと呼ばれる形のインプラント体も使われており、材料も人工サファイアが使用されるなど様々なタイプが使われていました。現在ではインプラントの形はスクリュー型、材料は純チタンやチタン合金、チタンの表面に特殊な処理をしたものが主流となっています。
チタンは骨と結合し、極めて生体親和性の高い材料になります。1952年にスウェーデンのブローネマルク教授によって発見されました。ブローネマルクの実験を通し、チタンは生体親和性の高い金属であることが証明され、以降はチタン製のインプラントが使われるようになりました。このオッセオインテグレーションし、骨とインプラントが強固に結合し一体化することがチタンの最大の特徴となります。
<入れ歯>
チタンの特徴は、アレルギー反応が少ないことの意外に、重さが金の約1/4、熱伝導率が貴金属の1/20程度となります。そのことから総義歯、部分義歯などの入れ歯に適した材料となります。異物感が少なく、温感に優れ、臭いがつきにくく、壊れにくい強度を有しています。
<チタン床入れ歯のメリット>
・金属部分が薄く軽いため、違和感が少ない
・安定して噛むときにずれない
・冷たい熱いなどの熱がわかる
・体に優しい金属、アレルギーが少ない
<チタン床入れ歯のデメリット>
・保険外治療のため費用が高い
・口を開けた時に金属部分が見えてしまうことがある
従来の金属よりアレルギーの出にくい素材になります。金属色が出てしまうため、審美的な回復はできませんが、長持ちする材質になります。被せ物、入れ歯、インプラントなどチタンは歯科ではよく使う材料になります。入れ歯やインプラントなど少しでも質問がある方はスタッフまでご相談下さい!