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薬理学について

こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。歯科医療でも多くの薬剤を用います。薬剤のメリット、デメリット、飲み合わせの悪い薬剤なども知っておかなければんらない知識の一つです。今日は「薬理学」についてお話しします。



1.薬理学とは?

薬理学とは、薬がどのような薬理作用を生体に及ぼし、どのような効果を現すのかを明らかにしていく学問のことです。すなわち、薬理学は人の生命と健康に深い係わりを持ち、体の不調を修復し、
「生きる」ことの質:生活の質(Quality of Life)を向上・改善する「薬」と「人体」との係わりを解
き明かす科学でもあります。

2.薬剤の動態:体内での動き方

薬剤が期待された効果を発現するためには、薬理作用が発揮できる目的の場所まで到達しなければなりません。そのためには、まず薬剤を循環血液中に取り込むことが必要で、この取り込みの過程を吸収(Absorption)といいます。薬物吸収は静脈内注射の場合を除き、適用方法が異なれば、いくつかの問題があります。一番よく用いられる内服の場合、多くの薬物は小腸で吸収され血液中に分布し、門脈を経て、肝臓で代謝され、毛細血管から組織間液に移行し、作用部位に到達して作用を現します。

<薬剤の投与方法>

国立 歯医者 薬理学

薬剤を投与する方法にはいくつか種類があり、ピークになるまでの時間も異なります。

1.経口投与
多くの薬剤は液剤、カプセル、錠剤、またはチュアブル錠(口腔内で噛み砕いて服用する薬)として経口投与します。経口投与は最も便利な上に、通常は最も安全で費用もかからないため、多く用いられている投与法です。ただし、薬が消化管を通ることによる障害もあります。経口で投与した薬は口や胃で吸収が始まってしまうことがあります。しかし、大半の薬は通常は小腸で吸収されます。そして、腸壁を通り、血流に乗ってその標的部位に運ばれる前に肝臓に達します。多くの薬は腸壁と肝臓で代謝され化学的に変化するため、血流に乗った時点で薬の量は少なくなっています。また、消化管内の食べものや他の薬が、薬の吸収量や吸収速度に影響してしまうことがあります。このため、空腹時に服用すべき薬や、食事と一緒に服用すべき薬、また他の特定の薬と併用してはいけない薬、経口投与禁止の薬などがあります。

2.注射投与

2-1.静脈内投与

国立 歯医者 薬理学

針を直接静脈に挿入して薬剤を投与します。溶液を1回の注射ですべて注入することもあれば、点滴などで持続的に注入することもあります。静脈内投与は、正確な用量を速くかつ適切に管理しながら全身に行きわたらせることができる方法です。この投与法は、皮下注射や筋肉内注射では刺激があり、痛みや組織の損傷を起こしかねない薬にも用いることが可能です。採血の時同様、人によって針やカテーテルを静脈内に挿入しにくい場合があるため、皮下注射や筋肉内注射よりも投与が難しくなることがあります。

静脈内投与では薬剤はすぐに血流内に入るため、他の経路で投与したときよりも早く効果が現れる傾向にあります。そのため、薬が効いているかどうか、または副作用を起こしていないかどうかを、注意深くモニタリングする必要があります。また、静脈内投与では、薬の効果の持続期間が短くなる傾向にあります。このため、効果を一定に保つために、点滴による持続投与が必要になります。

2-2.皮下投与

国立 歯医者 薬理学

針を皮膚のすぐ下にある脂肪組織に刺します。薬は注入されると毛細血管に入り、血流やリンパ管を介して血流に乗ります。インスリンのようなタンパク質の大きな分子でできた薬は、組織から毛細血管への移動が遅いため、通常はリンパ管を介して血流に入ります。タンパク質の薬は内服すると消化管で破壊されてしまうため、その多くは皮下投与されます。


2-3.筋肉内投与

国立 歯医者 薬理学

大量の薬の投与が必要な場合に用いられ、皮下投与よりも望ましい方法です。筋肉は皮膚と脂肪組織の下にあるため、皮下注射より長い針を使います。通常、上腕、太もも、あるいは殿部の筋肉に注射します。薬がどれくらい速く血流中に吸収されるかは、注射部位の筋肉にどれだけ血液が流れているかによって変わります。血流が少ないと、薬の吸収にかかる時間が長くなってしまいます。

3.薬剤の代謝:体内での化学変化

薬物代謝とは、体内で起こる薬の化学変化のことをいいます。代謝により生じる物質:代謝物には活性がないか、もしくはその活性や毒性が元の薬と同様のものや異なるものもあります。プロドラッグと呼ばれる薬は不活性型として投与され、体内で代謝されると活性型に変化し、その代謝物が望ましい治療効果を発揮します。

薬の代謝の主要部位は肝臓です。肝臓を通過しなければなりません。肝臓に入った後、酵素がプロドラッグを活性型の代謝物に変えたり、活性型の薬を不活性型に変えたりします。薬を代謝する肝臓の主なメカニズムは、チトクロムP-450酵素という特定の酵素群を介するものです。多くの薬の代謝速度がこのチトクロムP-450酵素群の濃度によって制御されます。この酵素群の代謝能力は限られているため、薬物の血中濃度が高いと処理に時間がかかったり、処理できないことがあります。

4.薬剤の排泄:体外への除外

体から薬が除去されることを排泄と言います。代謝してから排泄されることもあれば、そのまま排泄されることもあります。水溶性の薬とその代謝物は、主に腎臓から尿中に排泄されます。そのため薬剤の投与量は腎機能に大きく依存します。その他にも胆汁中に排泄されて除去される薬もあります。排泄の経路は、

①尿中への排泄
②胆汁中への排泄
③その他の排泄(少量):唾液、汗、母乳、および呼気など

があります。母乳中に排泄される薬物もあるため授乳中の方への薬剤には制限がある場合があります。


今日は薬理についてお話ししました。小児や高齢者、妊娠中や授乳中の方、肝臓や腎臓に疾患のある方はなど投与する上で注意が必要な方が多くいらっしゃいます。事前に問診票でも確認しますが、制限がある方は教えていただけると助かります。よろしくお願いいたします。明日は糖尿病についてお話しします。