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誤嚥性肺炎について①
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は、「誤嚥性肺炎」についてお話しします。
【目次】
1.誤嚥性肺炎とは?
2.管理と予防
3.治療法
4.嚥下障害
1.誤嚥性肺炎とは?
誤嚥性肺炎とは、誤嚥(食べ物や唾液が気道に入ること)がきっかけとなって、主に口腔内の細菌が肺に入り込んで起こる肺炎のことです。他の方からの細菌により感染するもののではありません。誤嚥を起こしやすいタイミングは、多くが食事のときです。しかし、睡眠中などでも、唾液が肺に流れ込んで起きることもあります。
・食事の際に起こる誤嚥性肺炎は、食事中にむせたり、食後に咳が続いたりすることが多いです。そのような場合は誤嚥を起こした可能性があるかもしれません。
・経口での食事以外(胃ろうなどの経管栄養法)でも、誤嚥性肺炎は起こる可能性があります。むせるなどの症状がなくても誤嚥している可能性があるので注意が必要です。
・高齢者で、脳梗塞などで麻痺のある方は、嚥下機能が低下しており、通常の食事でも誤嚥を起こす可能性が高くなります。
・高齢者の場合は、一般的に異物が気道に入ったときに咳で排除する反射能力が低下しており、むせる症状もなく、睡眠中などでも口の中の唾液が肺に流れ込んで起きる「不顕性誤嚥」も起こってしまいます。
・ノロウイルス感染症などでは、嘔吐物を誤嚥して起こる肺炎もあります。
2.管理と予防
誤嚥性肺炎が疑われる場合、患者さんの症状や健康状態を評価し、適切な診断と治療を行いましょう。誤嚥性肺炎の管理と予防に関するポイントは以下の通りです。
<管理>
- 嚥下評価: 高齢者や嚥下障害を抱える患者さんに対しては、嚥下機能を評価することが重要です。この評価を通じて、どの程度の嚥下障害があるかや、どのような食事の調整が必要かが判断されます。
- 食事の適応: 嚥下機能に問題がある場合、食事の種類や食事の調整が行われることがあります。食事の質や形状を変えたり、特定の食材を避けることで、誤嚥リスクを軽減することが可能です。
- リハビリテーション: 嚥下機能を改善するためのリハビリテーションやトレーニングが行われることがあります。言語聴覚士やリハビリテーション専門家が患者さんに適切なエクササイズやアドバイスを提供します。
- 姿勢の管理: 食事中や寝ている間の姿勢を適切に管理することで、誤嚥を予防することができます。特定の姿勢で食事を摂ることで、食物や液体が気道に入るリスクが軽減されます。
- 医療的ケア: 誤嚥性肺炎が発症した場合、症状の重症度に応じて適切な医療的ケアが行われます。抗生物質や酸素療法などが必要な場合があります。
- 環境の注意: 医療施設や介護施設では、誤嚥リスクを軽減するための適切な環境設計やケアが行われることが重要です。
誤嚥性肺炎は高齢者や特定のリスクを持つ患者さんにとって重要な問題です。適切な評価、管理、予防策を導入することで、誤嚥性肺炎の発症リスクを最小限に抑えることができます。しかし、具体的な症状やケアについては、医師や医療専門家の指導に従うことが重要です。
<予防>
誤嚥性肺炎の予防には、次のことを心がけましょう。
1.口腔の清潔を保つ
口腔は肺や胃腸の入り口です。適度な湿度と温度が保たれている口腔は細菌にとって居心地よく、歯磨きやうがいを怠るとすぐに細菌が繁殖します。そのため歯磨きをしっかり行ない、口のなかの細菌を繁殖させないこと、そして肺へ運び入れないことが重要です。
2.胃液の逆流を防ぐ
ゲップや胸焼けなどがある場合は、胃液の逆流が起こりえます。その場合、食後2時間ほど座って身体を起こしていることで、逆流を防止できます。
3.嚥下反射を改善する
嚥下とは物を飲み下すことをいいます。これがうまくいかない状態を嚥下障害といい、誤嚥性肺炎を引き起こす原因のひとつです。嚥下障害については、次項で説明しましょう。
4.薬を用いる
誤嚥性肺炎の再発予防には脳梗塞予防薬が有効とされ、用いられることがあります。
3.治療法
基本的には抗菌薬の投薬を行います。
また、低栄養状態や寝たきり状態による免疫力低下も関わっているため、抗菌薬による治療だけでなく、栄養状態の改善、嚥下や全身のリハビリテーション、適切な口腔ケアなどによる再発予防が必要です。しかし、疾患や老衰の末期では、誤嚥性肺炎の治療をすることで寿命を少し伸ばせても、生活が豊かにならず辛いことが増えたり、肺炎を繰り返したりする可能性があります。患者さんやご家族の意思を尊重したうえで、治療方針を決めていく必要があります。
4.嚥下障害
食べ物を噛んだり、唾液や噛み砕いた食物を飲み下したりすることができにくくなる状態です。
食べ物を口腔内で噛み砕く
→舌を使って口の奥に送り込む
→ 嚥下する
という流れで食事をします。このとき、口の奥の天井部分:軟口蓋が鼻腔を塞ぎ、気管のふたである喉頭蓋が閉じます。これによって口のなかのものが気管や鼻に入り込むことなく、食道から胃へと送り込まれるのです。しかし脳卒中や脳神経系や筋肉に障害を生じた場合、一連の動きに支障が起こります。
・物を飲み込みにくい
・飲み込むときに痛みがある
・口から食物がこぼれたり、口のなかに残ったりする
・よだれがでる
・口が渇く
・食べるのに時間がかかる
・飲み込んだ後に声が変わる
・飲み込む前後や、最中にむせたり咳き込んだりする
・食物や胃液が口のなかに逆流したり吐いたりする
これらの症状がみられる方は摂食・嚥下機能の低下が疑われます。早期に受診し、症状に合った食事および介助の方法を相談し、誤嚥防止に努めましょう。
超高齢社会となり、高齢者の割合が高くなり、介護をする方も高齢者とい状況も珍しくありません。食事の方法や姿勢を工夫するだけでも誤嚥を予防することが可能です。明日は、日常生活でのアドバイスをお話しします。