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ニコチンについて
こんにちは。JR国立駅南口30秒の歯医者、国立みんなの歯医者・矯正歯科・小児歯科・歯科口腔外科院長の三井です。今日は昨日に続き加熱式タバコについて、その中でもニコチンについてお話します。
【目次】
1.ニコチンとは？
2.ニコチンの作用とは？
1.ニコチンとは？
アルカロイドの一種で、神経毒性の強い猛毒です。化学物質としては毒物に指定されています。化学式はC10H14N2。タバコの葉に含まれており、喫煙によって煙から体内に取り込まれます。取り込まれた血液中のニコチンは急速に全身に広がります。中枢神経にあるニコチン性アセチルコリン受容体にニコチンが結合すると神経回路に作用して心地よさをもたらします。喫煙の習慣をなかなか止めることができないのは、この仕組みが強い薬物依存を引き起こしているためです。また、強い血管収縮作用があり毛細血管を収縮させ血圧を上昇させてしまいます。中毒性があり子供が誤ってタバコの葉を食べたりすると中毒を起こし、死に至ることもあります。ニコチンそのものには発がん性は認められていませんが、ニコチンが分解・代謝されることによって生み出されるニトロソアミン類に発がん性があることが知られています。トマトやナス、ピーマン、ジャガイモなどの他のナス科の植物にも含まれていますが、一般的にこうした植物に含まれるニコチンはタバコに比べると極めて微量です。
タバコや他のナス科の植物は虫に食べられることを避けるためにニコチンを生成していると考えられています。これはニコチンがアセチルコリンという化学物質に似た作用するためです。アセチルコリンは細胞同士が互いにコミュニケーションをする際に用いる神経伝達物質です。ニコチンを含んだ葉を食べることで細胞間のコミュニケーションが妨害され、虫が再びその植物を食べることを妨ぐ仕組みです。
2.ニコチンの作用とは？
ニコチンと似た作用を示すアセチルコリンがどのように機能するかを知ることで、ニコチンが細胞にどのように作用するかを理解しやすくなります。
アセチルコリンは細胞間でやり取りされるメッセージのような働きをします。「送信者」からアセチルコリンが放出され、「受信者」の外側に結合します。この情報のやり取りが細胞の細胞活性における変化などの応答を引き起こします。ニコチンはアセチルコリンとある程度似た形をしているため、アセチルコリン受容体を活性化することができます。そのためアセチルコリンの作用と同じような細胞応答を引き起こすことができます。
＜アセチルコリンの作用＞
3.ニコチンの影響とは？
ニコチンは体に吸収されやすい特徴があります。タバコの煙やエアロゾルに含まれる形で肺に入ったニコチンは肺の毛細血管から全身に広がります。ニコチンは全身の細胞に多くの害をもたらします。
①口腔粘膜全体への影響
歯茎や頬、口蓋、舌などの口腔内の粘膜細胞は常にターンオーバーが行われています。そのためには毛細血管を通して十分な酸素が必要です。ニコチンの血管収縮作用により血流量が減少してしまい、十分な酸素と栄養が行き渡らなくなってしまい再生・修復機能が低下してしまいます。さらにニコチンは細胞の遺伝子を傷つけガン細胞の増殖や転移を誘発してしまいます。
②歯茎への影響
・炎症をおこしやすくする
・歯茎の弾性を失わせる
・細胞を弱くする
③歯根膜への影響
歯根膜は歯と骨を結びつけている靭帯になります。ニコチンによりダメージを受ける事で歯根膜が弱くなり、歯から剥がれやすくなってしまいます。
④顎の骨への影響
ニコチンの分子量はとても小さいです。歯茎の細胞を通り抜け、顎の骨の細胞にも届きます。骨は常にリモデリングが行われています。破骨細胞による骨吸収と、骨芽細胞による骨形成がバランスよく行われ、健康な骨が維持されています。ニコチンにより破骨細胞の働きが優勢になり骨破壊の方にバランスが傾いてしまいます。
⑤歯周病への影響
ニコチンは歯周ポケットに存在する歯周病細菌の栄養となります。特に病原性の高い、P.g菌はニコチンによりさらに病原性が増加します。また、ニコチン以外のタバコの有害物質により免疫反応が乱れ、免疫応答も低下してしまいます。
⑥虫歯への影響
実はニコチンは虫歯にも影響します。粘着性物質が細菌が作り出すバイオフィルムを形成する足場となってしまいます。またニコチンが存在するとより多くの酸を生み出せるようになってしまい、虫歯のリスクが高くなってしまいます。
加熱式タバコでもニコチンなどの有害物質は含まれています。紙タバコと比較して少なくなている有害物質もありますが、含まれていることに違いはありません。まだ未知の領域が多い加熱式タバコですが、健康のためには吸わないのが一番です。PMTCやエアーフローなど予防クリーニングを機に禁煙される方もいます！一つきっかけになれれば嬉しいです！
